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アレなんだよなぁ〜!?

 甦れ!探偵物語
松田優作にもう一度会いたい

【著者】廣瀬嘉嗣 ほか【出版社】日本テレビ【ページ数】128ページ【発行年】1994

【読後感】

 本題にあるように優作がハードボイルド・ユーモアの探偵"工藤俊作"に扮したTV「探偵物語」を現存する出演者達や当時のスタッフによって紙上で甦らせている。

 出演者やスタッフの優作に対する言葉も大層心に沁みたがそれ以上に原作者の小鷹信光氏の優作がドラマの中で使用したあの有名なセリフ「日本にハードボイルドの夜明けはくるのか」という文章が心に残った。

 その彼が法政大学の英米文学研究会の講演での現実として「ハンフリー・ボガード、優作の探偵物語」などこういう主旨からして聞き手が間違いなく知っているだろうと思う人物を若年世代の人間達は知らないことの方が多いということに愕然とする。

 氏はそれでも自分を慕い、ハードボイルドを卒論のテーマに選んでいるという学生に将来を託した。しかし、ハードボイルドが何たるかを分からない若者に未来を託さなければならない現状はまさにセリフの如くである。

 だから、その様な若年層の人々が本書を読んだからと言って「探偵物語」の本質を掴むことはきっと困難であろう。ただ、SMAP×SMAPでキムタクが真似をしていた人物と番組という実にお座なりな理解しか出来ないのが当然である。

 だから、是非この番組は優作出演のビデオで観賞して欲しい。そして生の優作にそして個性のあるレギュラー陣や愛すべきゲスト達に接していただきたい。この本はあくまでも優作を知る導入部である。

 小生も探偵物語のページなどを立ち上げ、一端に知ったか振りをしているが優作自身を知ろうとする入り口にまでも立っていないことに本書は気づかせてくれた。

 私も自分のホームページから優作の熱烈なファンのみんなとの数多い出会いもあったが少なくともその中で私だけは胸を張って「何十年に渡る優作のファン」でございますなどとは口が裂けても言えない。

 なぜなら殆ど、ファンなら所有しているはずの優作グッズなどというものも全然所有していないし、ファンならば必ず知っているという行き付けの店だとかどこそこで探偵物語の撮影が行われただとか墓はどこにあるかなどという情報についてはインターネットで知り合った仲間達のホームページを見るまでは全然興味も湧かなかったし、だからといって調べようなどという気もさらさらなかった。

 それでも今から17年くらい前の高校3年生の時に熱狂的な優作ファンの荒巻義隆("沈黙の艦隊"で有名な荒巻義雄の長男)という友人と国立大学共通一次試験の3日前に行った優作演じる殺人鬼・鳴海昌平の遊戯シリーズ3本立て「最も危険な遊戯、処刑遊戯、殺人遊戯」には自己の人生が本当にこれでよいのか考えさせられた。(そんな考えさせるような映画ではないのだが優作のアクションが何故かその頃の身に沁みたのである)

 この多感な思春期に巡り会ったこれらの作品は未だに深く脳裏に焼き付いている。最近になって又見たが当時ほど感動することはなかったが既に亡くなってしまった優作が画面に登場すると凄く心が踊るのである。

 翻って現在は欲目ではなく、優作に匹敵するような俳優は全くいなくなってしまったが幸運にも我々は「真の役者であった松田優作の姿」をまだビデオで見ることが出来る。そして、優作を扱った本で本人を読むことも出来る。

 「若者よ!ハードボイルドを本当に地でいった人間の姿は現在にも残存している」のだからそこからもう忘れ去られてしまった心の襞をそして本来の人間の生き方や楽しさを学んでいただきたい。だから、私自身は「優作ファン」ではなくていつまでも「優作に人生を感化された一人の人間」としてハードボイルドな死を迎えたい。



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