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松田優作 炎 静かに
【著者】山口猛【出版社】立風書房・現代教養文庫【ページ数】270ページ【発行年】1994
【読後感】
本書を読むまで山口氏はてっきり作家だと思っていた。しかし、「キネマ旬報」の取材で松田優作のインタビューを敢行した当時から現在まではフリーライターとのことである。そして彼らの出会いは吉永小百合主演「華の乱」で最悪の状態から始まった。
それが優作の遺作となった「ブラック・レイン」での関わりを通して、彼らの関係も只の職業人としてだけではなく、人間としての絆が深くなっていったのである。それは色々な場面で数々登場する彼らの会話によって強く感じられる。
松田優作は「太陽にほえろ!」「遊戯シリーズ」でアクションスターとして確立し、「陽炎座」「家族ゲーム」「それから」などでアクションスターとしての自分をある程度破壊し、日常を少し取り戻すことに成功する。
そして、「ブラック・レイン」で日本映画の枠組みまでも破壊しようとしてそれはある程度成功したのだろう。私如きが何故"ある程度"と書いたかというと松田優作という人間は常に上昇志向で現状に甘んじなかった人間だからである。
この一連の出演作の流れの中で彼の心の内の葛藤が山口のペンと優作に対する愛情を通じて、自分の心に染み込んでくるのである。又、ファンにはたまらないだろう随所に散りばめられている雑誌などの"優作語録"が彼の深い人間性を如実に表している。
松田美由紀、黒澤満、村川透、鈴木清順、森田芳光、深作欣二、そして、リドリー・スコットに至る人間同志の熱い出会いとお互いの深い理解...。山口氏との関係もそうだがこれら他の人物との人間模様も本書から十二分に感じとることが出来た。
これは優作の本というだけではなく、熱き人間達の出会いの書でもある。そこの携帯電話を持って話している若い人や援助交際に走るオヤジ共には是非とも読んでもらって自分の薄っぺらさを痛感して下さい。けれど外見とは違い、こんな人間くさい俳優もついこないだまで日本に存在していたのである...。
-松田優作 炎 静かに 合掌-