太陽にほえろ！--８７話　島刑事その恋人の死

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87.　島刑事その恋人の死

【出演者】石原裕次郎、松田優作、(関根恵子)、露口茂、竜雷太、小野寺昭、下川辰平、青木英美、浜田寅彦、幾野道子、有吉ひとみ、中村孝雄、水谷邦久、真山京子、雨宮和美、大坪日出代【監督】山本迪夫【脚本】柏倉敏之【音楽】大野克夫（音楽）、井上尭之バンド（演奏）【原作】魔久平

【あらすじ＆ジーパン心の叫び】

　新宿駅前。デンカを待つ恋人・柚木麻江(有吉ひとみ)。彼女は嬉しそうに山形の母親に手紙を書いたという。山形に行こうと思っていたと答えるデンカ。結婚はもう秒読み段階に入っていた。「刑事の奥さんでいいんだね？」と念を押すデンカに「刑事以外の島さんでは魅力がなかったかも」と茶目っ気たっぷりに答える麻江。

　二人は彼女のリクエストで鍋を買いに行こうとするところをポケベルに邪魔されてしまう。ボスからの連絡は共栄倉庫の裏で殺人事件発生だった。「夕飯を作って待っている」とデンカの背中を暖かい眼差しで見送る麻江。事件の被害者は40歳前後の男で胸を拳銃で撃たれていた。

　財布には手をつけられていなかったので物取りの犯行ではなかった。デンカとジーパンは直ぐに付近の聞き込みに走ろうとする。それから目撃者の証言で被害者は「タツ」という言葉を繰り返し吐いて亡くなったとの事だった。

　これはおそらく犯人の名前を伝えようとしたものだと予想された。先ずは被害者の身元割り出しから捜査は始まる。被害者は最近、歯の治療をしていた。一方、麻江はいちごを買って、アパートへ戻る途中だった。それが生存の最後だった。

　何と彼女は轢き逃げに遭い、死んでしまう。病院へ急いだデンカの前には白い布を被って横たわる麻江の姿があった。ボスの前でやるせなさを募らせるデンカ。娘の突然の死去に山形から上京した母は生前の麻江を思い出し、デンカに感謝の言葉を掛ける。

　交通係には今のところ、轢き逃げの目撃者情報はなかった。ジーパンは「交通係を手伝いたい」と進言するがボスは自分達の仕事があるだろうと宥める。そんな中にデンカは出勤した。口ではもう忘れることにしたなどと言っていたが本心は違った。

　人間いつどうなるか分からないとゴリに借金も返す。「もうデートする相手もいないので・・・」と直ぐに歯医者を回ろうとする。そんな姿にボスもヤマさんも他の面々も心配していた。彼女を忘れるかの如く、徹夜で歯医者を回るデンカ。

　そんな執念が通じたのか、彼は遂に被害者にぶち当たる。被害者は西池オサムという板金工場の経営者であった。妻に真実を伝えると突然の悲報に泣き崩れる。少し冷静になったところで事件当日の行動を確認すると夫は銀行に新しい機械を買うための500万円を借りに行ったという。

　また、「タツ」と残した言葉から工場には白井タツフミ(水谷邦久)という若い男が働いていることも判明する。今日、彼は休んでいてる。調べてみると事件当日も午後から出勤していた。ビリヤード場に白井を訪ねるデンカとジーパン。

　最初は冷静を装っていた白井だったがデンカの隙を見て逃走した。公園で力強いパンチをお見舞いし、白井を逮捕したデンカ。その武勇伝はゴリ、デンカ、ジーパンで祝杯を上げに行った時の格好の肴になった。白井を取り調べるヤマさん。知らぬ存ぜぬを決め込む白井。

　間もなく、ジーパンの報告により彼のアパートから300万円が発見された事が分かる。その番号は西池氏が銀行から借りた札束と一致した。だが、実際に撃ったのは彼ではなかった。白井には岩本ナカミチ(中村孝雄)という元戸川組組員の共犯者が存在した。

　その後、白井と会うはずだった曙公園で岩本を逮捕する。この逮捕劇の中でデンカはゴリがいなければ死んでいたという様な無理を犯した。「犯人は捕まえた」と開き直るデンカに愛の鉄拳を飛ばしたボス。麻江を亡くした彼の心情を一番察していたのはボスであった。

　そんな折り、交通係では轢き逃げ犯の身元が判明。それは水沢ユウキチ(浜田寅彦)という初老の男だった。直ぐに水沢の家を訪ねるデンカとジーパンに彼の娘・ケイコ(幾野道子)は「父を許してくれ」と懇願する。

　訳を聞いてみるとあの日、ユウキチは急に妻が倒れたため、病院に急いでいたとの事だった。妻は何とか一命を取り留めるが入院生活を余儀なくされているという。15年間無事故だったユウキチ。

　二人はそれ以上、ケイコに詰問することが出来なかった。張り込みの車に戻り、デンカはボスの言葉を麻江と重ね合わせる。そして、家の中ではケイコがユウキチの電話を取っていたのだが...。

　ジーパン心の叫び　「よく言うじゃない。色男、金と力はなかりけりなんてさ。言い直す、言い直す、やさしくて力持ち！」