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41. 野良犬の恋歌
【出演者】渡哲也、(仁科明子)、松田優作、小野武彦、峰竜太、神田正輝、苅谷俊介、滝田裕介、高品格、舛田紀子、森正親、白川望美、美田麻紗子、風吹ジュン、田島義文、ウィリー・ドーシー、エンベル・アルテンバイ、大月ウルフ、三島新太郎、沢美鶴、猪野剛太郎、側見民雄、戸塚孝、大宮幸悦、新井一夫、佐々木功、井内潔重、佐藤勝洋、(丘みつ子)、石原裕次郎【監督】村川透【脚本】佐治乾【音楽】GAME[FUN CITY](音楽)、ポリドールレコード(音楽協力)、鈴木清司(編曲)【撮影】仙元誠三
【あらすじ&徳の本音】
課長は黒岩のやり方が気に入らなかった。東南アジアから東京へ10kgの覚醒剤が持ち込まれたという情報で黒岩は沼田(田島義文)という男をずっとマークしていた。末端価格にして数十億円になるブツを捌けるのはこの男しかいないという刑事勘であった。
この沼田という男は恐喝、売春、麻薬、殺人など極悪非道の限りをつくしながら大きな屋敷に住み、都内には愛人にマンションを買い与えるなど悠々自適の生活を送っていた。その頃、宮本が沼田の張り込みをしていた。彼の交代要求に黒岩は徳吉を指名した。
徳吉は不服そうな表情を示した。彼は珍しく18:00にデートの待ち合わせをしているという。その前にアパートに一度戻り、風呂に入りたかった徳吉だったが黒岩は「なるべく早く行く」と説得して、無理矢理張り込みに行かされる。
だが、黒岩が現場に到着したのは既に20:30を超えていた。落胆した徳吉は黒岩を鬼呼ばわりして、取り敢えず、待ち合わせ場所に向かう。果たして、その女性ヨウコ(風吹ジュン)は待っていた。「三時間も惨めな思いで待っていた」といいながら彼の2回目のキスは受け入れる。
その時、徳吉の彼女への熱い愛がほとばしる。彼はヨウコに「父親に会ってくれ」と言われたらしく、黒岩に付き添いを頼む。しかし、彼は刑事という素性を隠し、はずみで建設会社社員と告げたらしい。ヨウコが結婚を承知したらしいのだ。
彼女との出会いはアパート近くのスナックでヨウコがチンピラに絡まれていたのを助けたことから始まったらしい。ホテルのティールームで談笑する3人。だが、ヨウコの父親が現れた途端、彼らの表情が一変する。何とそこには沼田の姿があった。ヨウコの前で城西署の刑事であることがばれる二人。
黒岩は沼田の「プライベートな問題だから」という声にも耳を傾けなかった。ヨウコはその時、徳吉に「あやまって済むことではない」と感情的になる。6年の刑事歴がある彼は黒岩に「惚れた女の親父くらいちゃんと調べておけ」と注意される。
一方、覚醒剤捜査は国際警察が絡んできていた。その担当官であるポール(ウィリー・ドーシー)は2人の外国人が組織に覚醒剤を渡すという情報を掴んでいた。気を落としていた徳吉はその貴重な情報さえ、耳に入らなかった。傷心のまま、アパートに戻ると何とそこにはヨウコの姿があった。
彼女は決意を固め、スーツケースを持参し、家出をしたのだった。松ヶ枝に食事に出掛ける二人は宗方に会う。山崎ヨウコと紹介した徳吉だったが宗方に沼田の娘であることは既に見破られていた。彼女は3つの時に離婚した母方の姓を名乗っていた。
黒岩の事を気に掛けながら、「刑事を絶対にやめるつもりはない」と断言する徳吉。だが、途中で入ってきた丸山はそんな二人に怪訝な表情を示した。裏では沼田と例の二人組外国人のひとり、フランクの交渉が進んでいた。黒岩は「現行犯で逮捕したい」と決意を新たにしていた。
徳吉も夜中に起こされる。「立川に直接来い」という電話だった。その時、ヨウコは眠りから覚めていた。そして、母の形見だというネクタイピンを徳吉に渡す。翌朝、何故か沼田の手下がヨウコの下に現れる。彼女はついつい「立川」の名称をその男の前で出してしまう。
他方、フランク達はジープ2台で取引場所に向かっていた。しかし、彼らは国際警察に尾行されていることに気づく。それを早速電話で沼田に伝える。沼田は直ぐに取引を中止。黒岩軍団もフランクらを追跡するがトラックに邪魔された後、彼らに火焔放射器による攻撃を受ける。
そして、フランクの拳銃はポールを捉える。病院に運ばれる途中でポールは「情報が漏れていること」と「徳吉のネクタイピンが非常に高価なものであること」を黒岩に告げる。黒岩は徳吉に「自発的に手を引け」と命令する。
課長と黒岩に非難を受けた徳吉は交通安全週間の応援に回される。彼は強烈な言葉を仲間に浴びせかけ、署を後にする。アパートに戻り、徳吉はヨウコにネクタイピンを返す。そして、現在の自分の心情を正直に吐露し、そして彼女の前で究極の選択を告白する。
「刑事」と「二人の幸せな生活」の二者択一は「一緒になれない自分を選ぶ」と。その上で以後「女の人を好きになりません」とも告げる。「刑事としては沼田を憎む」とも。徳吉はヨウコを引き連れて、沼田の事務所になぐり込む。
勢い良く飛び込んだ徳吉だったが多勢に無勢で取り押さえられてしまう。その頃、調布の解体工場でフランクのキャリアカーが発見された。しかし、それは羽田の造船所で安全に取引をするためのフランクの罠であった。徳吉は愛の力によって窮地を脱し、黒岩にこの事実を伝えるのだが...。
BGM・徳吉功「くちなしの花」
徳の本音 「実際、クロさん、鬼だよ」「てめえらには人の気持ちってのはないのか。俺は惚れてんだよ。文句あるのかそれで。え〜。てめえら、女に惚れたことはないのかよ。バカヤロ〜。俺は女に惚れてんだよそれが悪いのか〜。なめんなよ〜」「てめえには人の愛とか苦しみとか・・・何も分かっちゃいないよ」「クロさん、今晩おごってくれますか」