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アレなんだよなぁ〜!?

MOVIE 6
【501-550】



501.陪審員 THE JUROR

  • デミ.ムーア、アレック.ボールドウィン、ジョセフ.ゴードン-レヴィット、アン.ヘック、ジェームズ.ガンドルフィーニ、リンゼイ.クルーズ、トニー.ロ.ビアンコ、ブライアン.ギブソン(D)/1996/117′/96.11.24
  • 自分で決断し、陪審員になった一児の母アニー.レアード。その陪審員をするマフィアの裁判がアニーと息子オリバーに危険を与えることになる。彼女のアートに興味がある振りをして接近するファミリーの一員ティーチャー。彼はアニーに裁判を無罪にすることを強要する。そして、それを邪魔する人間を次々と抹殺した。アニーは息子のために裁判で無罪を勝ち取ることには成功する。だが、マフィアの追求はこれで終わったわけではなかった。そして、彼女のティーチャーに対する恨みも...。結構、緊張感のある映画だったし、デミ.ムーアも佳作と言えるくらいの演技をしていた。 一番気になったのはアレック.ボールドウィンの顔が場面場面で違ったという事である。シャープな顎のラインを示したいい表情の時もあれば、飲み過ぎかなんかで顔がむくんでいることがあった。最近はいろいろな映画に引っ張りだこなのでちょっと気が緩んでいるのかなと思う。これからもっと羽ばたきたいのならロバート.デ.ニーロの様に役作りに徹して欲しい。
  • @タバタクの採点 3.33/5

    502.フロム.ダスク.ティル.ドーン FROM DUSK TILL DAWN

  • ジョージ.クルーニー、クエンティン.タランティーノ、ハーヴェイ.カイテル、ジュリエット.ルイス、アーネスト.リュー、ロバート.ロドリゲス(D)/1996/108′/96.11.24
  • 兄弟で銀行強盗をやり、殺人を犯しながら逃亡するセスとリッチー。もう一方、妻を亡くし、牧師の職も捨てたジェイコブは息子スコットと娘ケイトとともに放浪の旅に出ていた。彼らは不幸にもあるモーテルでセス兄弟と出会い、人質になってしまう。兄弟がメキシコのエルレイに逃げるために仲間と待ち合わせた場所「ティティ.ツイスター」。これは噸でもない悪魔の館であった。想像を絶する恐怖が彼らを襲う...。おそらく、タランティーノのアイデアだと思うがフラッシュバックを使った映像の挿入の仕方が新鮮であった。また、ハーヴェイ.カイテルが途中で恐怖の狭間の中で言うセリフで「私が主役だから。」というのが笑えた。結構、随所にユーモアを散りばめていた。監督ロバート.ロドリゲスが俳優としてタランティーノを使うことを考慮したものだと思われる。それにしても相変わらずタランティーノはオタッキーで性犯罪を犯す弟という役はピッタリはまっていた。それと主役ジョージ.クルーニーの面構えは印象深くて、狂気に満ちたもので非常に良い。他の映画でも是非、使って欲しいと熱望する。
  • @タバタクの採点 3.88/5

    503.ボーイズ.オン.ザ.サイド BOYS ON THE SIDE

  • ウーピー.ゴールドバーグ、メアリー-ルイス.パーカー、ドリュー.バリモア、マシュー.マコナウヒー、ジェームス.リマ、ビリー.ワース、ハーバート.ロス(D)/1995/117′/96.11.29
  • 売れない歌手を17年やってきたジェーンはNYを捨て、LAに行く決意をする。彼女は新聞で知り合ったロビンと旅に出ることになる。ロビンは病気を忘れるためにサンディエゴに向かう。その途中のピッツバーグでジェーンの友達ホリーも男を捨て、仲間に加わる。殺人、エイズ、妊娠、レズビアン、別居、裁判など様々な問題を抱えながらも彼女らは「家族」としての絆を旅の途中のツーソンで深めてゆく。ウーピーの歌声は相変わらず素晴らしい。途中のカーペンターズ「遥かなる愛」そして、最後の歌...。また、ロビンはメグ.ライアン、ホリーはシンディ.ローパーに似ていた。だから、どうという事ではないが...。中盤まではウーピーの良さが出ていなかったがさすがに最後は帳尻を合わせるものである。しかし、約2時間の映画の中に色々な問題を詰め込みすぎた印象は拭えない。だが、現在起こっている問題を積極的に取り上げていることも確かである。評価は見る人に委ねたいと思う。
  • @タバタクの採点 4.01/5

    504.ザ.テレフォン THE TELEPHONE

  • ウーピー.ゴールドバーグ、セヴァーン.ダーディン、エミー.ライト、エリオット.ゴウルド、ジョン.ハード、リップ.トーン(D)/1991/82′/96.11.30
  • ウーピーの作品が2本続いた。これは1991年の物である。全編が殆ど彼女の一人芝居で進行される。内容は売れない俳優バシュタイ.ブルーの一人生活。彼女は最近?、男とも別れた。心を癒してくれるのはペットと電話...。その電話を使い、ブルーは自分の心を埋めようとするのだが、そこには本当の孤独が存在した。舞台はほとんど彼女の部屋。そして、電話のシーン。隣人との喧嘩、昔の知人の来訪、そして、電話局の人間がブルーに現実を思い出させる。彼女が取る行動は...。時間は82分と短いのだが、この単純な設定を一人で演技しきる人間はウーピー以外にはあまり思い浮かばない。彼女が嫌いな人には本当に退屈な映画かもしれないが、好きな人には堪えられない映画だと思う。範疇は2流のフィルムだろう。しかし、俳優を志そうとする人間には是非、見て欲しい一品である。
  • @タバタクの採点 5/5

    505.密会 CARRIED AWAY

  • デニス.ホッパー、エミー.アーヴィング、エミー.ロゲーン、ゲイリー.ブージィー、ハル.ホルブルック、クリストファー.ペティット、ジム.ハリスン(W)、ブルーノ.バレート(D)/1995/109′/96.12.1
  • ノースカロライナ.ハワーズビル-アメリカの片田舎。無資格で20年間教師を続けてきたジョセフ.スペンデン。彼は教師の仕事を取り上げられようとしていた。そして、ジョセフには6年間付き合ってきたが結婚せずにいるロザリーという女性がいた。それがある日やってきた転校生キャサリンによって崩されてしまう。キャサリンはジョセフを誘惑し、彼女の虜にした。ついにジョセフは母親の葬式の日、ロザリーを傷つけてしまうことになる。彼の運命は足を傷つけたコヨーテのみが知っているのか...。映像は田舎が設定されていることもあり、時が緩やかに流れる。片足が不自由な主人公を演じるデニス.ホッパー。いつもの彼と同じ様に演技は非常に自然である。そのシーンに直ぐに入っていける。なかなかうまく行かない生活の中でキャサリンのような魅力的なコギャルが現れればこういう関係になるのが自然であろう。それにしてもキャサリンはうだつの上がらないジョセフになぜ近づいたのか?それは僕の心に少々の疑問を残して映画を見終えた。
  • @タバタクの採点 3.04/5

    506.X-ファイル セカンド13 THE X-FILES SECOND SEASON

  • デヴィッド.ドゥコブニー、ギリアン.アンダーソン、クリス.カーター(E.P)/1995/89′/96.12.6
  • ファイルド.ファイル THE SECRETS OF THE X-FILES
    これまでのX-FILESの総集編
  • NO.225 アナサジ ANASAZI/R.W.グッドウィン(D)
    あるハッカーによって盗み出された国防総省の極秘ファイルがモルダーの手に入った。だが、彼はこの秘密を暴く途中でなぜか父親を亡くしてしまう。そして、このファイルはナバホ語というインディアンの言葉で書かれていた。解読のためにモルダーとスカリーはニューメキシコへ向かう。そこで秘密の一端を見つけたモルダーだったが...。
  • @タバタクの採点 5/5

    507.イレイザー ERASER

  • アーノルド.シュワルツェネッガー、ジェームズ.カーン、ヴァネッサ.ウィリアムズ、ジェームズ.コバーン、ロバート.パストレリ、ジェームズ.クロムウェル、ダニー.リッチ、チャールズ.ラッセル(D)/1996/115′/96.12.7
  • 連邦保安官ジョン.クルーガーの任務は事件に絡む証人を保護することであった。彼は次の事件に遭遇することになる。軍事企業サイレス社で超高速電磁銃の国外への密輸が計画されていた。そこの女性社員リーの内部告発によりこの事件はFBIの知るところとなる。彼女は会社から極秘のディスクを盗み出す。そして、この捜査に当たったジョンはリーを保護するが事件はとんでもない方向に進む。同じく捜査協力をするCIAの中にスパイが潜んでいたのだ。ジョンはリーを守りながらこの密輸を阻止するためにディスクの解明を試み、サイレス社に乗り込む。彼をサポートするのは昔マフィアから助けてもらい第二の人生を送っている男ジョニー。自分の利権のために執拗にジョンを追い詰めるCIA捜査官ドゥゲラン。事件は裁判所を出たところで予想外の展開を見せる...。シュワちゃんのビデオ最新作。だが、この映画は劇場で見るべき物であろう。テレビの画面からは迫力が全て伝わりにくい。48歳の彼は少しやつれた表情をした場面も後半の方は見られた。シュワちゃんも年には勝てないのか。しかし、エンターティメントとしては充分楽しめたし、「スピークラークおじさん」も要所要所でにやけ臭い顔を見せてくれた。まあ、シュワちゃんには死ぬまでこの路線を歩んで欲しい。
  • @タバタクの採点 3.85/5

    508.誘導尋問 INDICTMENT THE MCMARTIN TRIAL

  • ジェームズ.ウッズ、メルセデス.リュール、ロリータ.ダヴィドヴィッチ、サダ.トンプソン、ヘンリート.トーマス、シャーリー.ナイト、マーク.ブラム、アリソン.エリオット、ミック.ジャクソン(D)/1995/132′/96.12.8
  • 1983年-1990年アメリカで起きた実話を基に作られた。マンハッタンの保育所においてその事件は出現した。そこを経営するバージニア.マクマーティン園長の孫レイモンド.バッキーとその母ペギー他5人の従業員が幼児虐待の罪で訴えられた。弁護士の成り手がなかったが3流のダニー.ディビスが正義感に燃え、弁護を引き受ける。マスコミも含め世論は既に彼らを犯人に仕立て上げていた。しかし、ダニーが詳細を調べていく内に訴えた人間、子供達に証言をさせた幼児教育の権威?に疑惑が出てきた。7年の長期にわたり苦痛を与えられるマクマーティン一家、そして弁護士と検察の争い。この長期裁判が彼らに与えた物はいったいなんだったのだろう...。実話を基に脚本がかなり練られている印象を受けた。最後まで132分という時間を感じさせずに映画を楽しむことが出来た。ジェームズ.ウッズ扮する弁護士の最初は名を売らんがための小市民的表情がだんだん変化していくのが非常に良かった。しかし、アメリカもやはり日本と同じ部分があり、マスコミなど世論によって人の罪まで決めてしまう恐ろしい危険性があることも分かった。それによって無実の人間達の幸せを打ち砕いてしまうことも...。それらに左右されずに自己を確立することは自由の国といえども困難。まして、日本ではなおさら。このフィルムを見てこの国に住む人間達よ、考えよ!!この映画は無意識にマスコミを信用する人々に強く推奨する。
  • @タバタクの採点 4.88/5

    509.アンカーウーマン UP CLOSE & PARSONAL

  • ロバート.レッドフォード、ミシェル.ファイファー、ストカード.チャニング、ジョー.マンテングナ、ケイト.ネリガン、グレン.プランマー、ジェームズ.レズホーン、スコット.ブライス、レイモンド.クルーズ、デディー.ファイファー、ジョン.アヴネット(D)/1996/125′/96.12.13
  • ザリー/サリー/タリー。田舎町からマイアミへテレビで有名になろうとしたアトウォーターがそこにいた。チャンネル9のディレクター.ウォーレン.ジャスティスは彼女の妙な存在感に興味を示す。お天気キャスターからアンカーに抜擢されたタリーは彼の指導により頭角を現す。しかし、彼女は引き抜かれフィラデルフィアに移ることになる。ここで当初は自分を失っていたタリーはウォーレンの力により再び自分を取り戻す。それから様々な栄光を勝ち取っていく彼女だったが...。テレビ報道の過酷さ、その反面視聴率という魔物に取り付かれる連中。テレビ報道の現実が二人を通してうまく描かれていたと思う。これは蛇足だがマイアミのテレビ局の受け付け嬢はプロ野球の落合夫人に似ていた。映画の話に戻るとミシェル.ファイファーは場面場面によって顔の表情がかなり変化する。これは女優にとっては良いことである。例を出して悪いがニコール.キッドマンやサンドラ.ブロックは常に単一の表情を示す女優の代表だ。役にはまればそれなりのフィルムが撮れるが基本的には大根役者である。それに比べてミシェル.ファイファーは彼女らより地味かもしれないが演じられる範囲が広い女優だと思う。私の要望として昔の小説を題材にした心理物を彼女には演じてもらいたい。
  • @タバタクの採点 3.98/5

    510.12 モンキーズ TWELVE MONKEYS

  • ブルース.ウィルス、マデリン.ストウ、ブラッド.ピット、クリストファー.プランマー、フランク.ゴーシン、ジョン.セダ、テリー.ギリアム(D)/1996/130′/96.12.14
  • 1997年地下に潜った人類の生き残り達。その一人が囚人ジェームズ.コールだった。彼は50億の人類を滅亡に追いやった細菌の調査を命じられる。間違って送られた1990年でジェームズはこの事件の鍵を握る人物、精神医キャサリンとジェフリーという精神病の男に会う。再び1996年に戻ったジェームズはキャサリンと共に細菌と「12モンキーズ」の謎に迫る。最初は半信半疑だったキャサリンもやがてジェームズの言っていることが現実に起こり彼を信じるようになる。彼らはジェフリーの周りを洗うことにより真相に近づくのだが。その時、夢が現実になる...。現在-過去-未来。この映画については賛否両論があると思う。僕は肯定者である。1997年は来年である。今の現実の社会に目を向けてみると日本はもとより世界でこのような企みがあっても全く不思議ではない。映画の中でも「現代人は目先の生活に目を向けて警告を無視している。」というセリフがあった。アメリカでも日本でも様々な事件が起こり、警告があるにもかかわらず、相変わらず人々は自分勝手に暮らしている。そこに危機意識はない。僕はこの中に出てくる細菌より人々の無関心さの方により恐怖を感じる。人類を滅ぼすのはもしかして「無関心」ではないかなとも思う。それにしても最後のクレジットの処で流れるルイ.アームストロングの歌が心に沁みた。
  • @タバタクの採点 4.56/5


  • 511.フライト.フロム.ジャスティス FLIGHT FROM JUSTICE

  • ジャン.レノ、キャロル.ロール、ブルース.ボクスレイナー、ヴラスタ.ヴラナ、ディヴィッド.フランシス、ドン.ケント(D)/1996/91′/96.12.15
  • カナダの女医アンから入った電話は親友マイケルに関するものであった。フランス空軍チャーリー.ベールは親友の消息を探しにカナダに行く。この事件には地元のパリシュ貿易いう会社が絡んでいるらしかった。チャーリーはアンと共にイーデンリバー沿いに展開する捜査を開始する。そこには愛も流れていた...。昔の色合いを感じさせる映画であった。そこにはカナダの大自然も関連していると思う。そして使われたバックグランドミュージックも場面場面を盛り上げるのに効果的だった。演技に関しては特筆すべき事はない。ただ残念だったのは91分と短かったことがエンディングのところを尻切れ蜻蛉にしてしまった感は否めない。
  • @タバタクの採点 3.61/5

    512.ブリット BULLITT

  • スティーヴ.マックイーン、ロバート.ボーン、ロバート.デュヴァル、ジャクリーン.ビセット、ピーター.イエーツ(D)/1968/114′/96.12.29
  • サンフランシスコ市警の敏腕刑事フランク.ブリット警部補は上司の推薦によりある裁判の証人の警護にあたる。その証人ジョニー.ロスはある組織を摘発するための重要な証人であった。依頼者は上院議員チャルマース。任務を帯びたフランクであったが組織の殺し屋によって証人と同僚刑事を傷つけてしまう。そして証人は命を落とし、フランクはこの事実を隠すことになる。殺し屋を殺すことには成功するが上院議員の追求は厳しくなる。最後の攻防はサンフランシスコ空港で起きる...。時折、恋人キャシーとの会話が挿入される。「あなたは死と暴力の中にだけ生きている」と。それから1968年当時を思わせるアメ車(ムスタング)、もう今はないパンナム航空幾。当時西部劇のヒーロー.スティーヴ.マックイーン。刑事物映画の王道を行くようなシナリオだがそれなりに楽しめてしまうのは彼がスターということだろうか。彼の恋人役ジャクリーン.ビセットも充分セックスアピールを感じた。
  • @タバタクの採点 3.25/5

    513.巴里のアメリカ人 THE AMERICAN IN PARIS BALLET

  • ジーン.ケリー、レスリー.キャロン、オスカー.レヴァント、ジョージ.ジュタリー、ニナ.フォッシュ、ビンセント.ミネリ(D)/1951/114′/97.1.5
  • 巴里をパリと読めない人も多いかもしれない。日本でもちょっと前までは外国の地名をきちっと漢字に当てはめていたのだ。さて、あらすじはアメリカのG.Iとしてパリに派遣されたジェリー.モリガンが除隊後も画家として巴里に住み着いたことから物語は始まる。「風船ガムおじさん」と親しまれたジェリー。彼の友人のピアニスト.アダム、ミュージカルスター.アンリそしてパリを愛し町に住む老人、子供達その他諸々の人々。売れない画家ジェリーにある日未亡人のスポンサーが付いた。この未亡人ミロは彼の絵と同時に彼自身をも愛してしまった。一方ジェリーは偶然酒場で会ったリズを愛してしまう。恋は三角関係かと思われたが実は友人アンリも絡んでいたのだった...。この映画で描かれていたパリの下町の風景とそこに住む人たちの人情に心を打たれた。日本でも外国でもほっとする光景は一緒なような気がする。場面場面に挿入されるミュージカル仕立ての演技がそれをうまく表現していた。日本でミュージカルをやると臭くなるのは日本語自体が音楽に乗らないからである。それを無理矢理にやろうとするから滑稽さしか出てこない。それと最後の15分くらいはほとんどセリフがなく、ミュージカルによりジェリーの心理描写を表していた。これはうまくいったところといかなかったところがあり、退屈を感じる部分もあったことは否めない。それにしても昔の映画というのはセリフが洒落ていると思う。現代映画は言葉の重要性をもう一度認識すべきだ。
  • @タバタクの採点 4.10/5

    514.処刑遊戯 SHOKEI YUUGI

  • 松田優作、青木義朗、佐藤慶、草薙幸二郎、山本麟一、森下愛子、片桐竜次、山西道広、丸山昇一(W)、仙元誠三(P)、村川透(D)/1979/100′/97.1.9
  • 低予算、低コストの遊戯シリーズ第3弾。ご存じマグナム44を持つ凄腕の殺し屋・鳴海昌平はある組織によって無理矢理殺しの依頼をされる。依頼は組織のおかかえ殺し屋岡島を始末することであった。女ピアノ弾きリリィによって誘き出された鳴海は殺しの依頼を受ける代わりに自分の流儀を通す事を組織に強要する。そして、最初の依頼を成功した後に第2の指令を受けた鳴海は...。この遊戯シリーズは松田優作の初期の作品としては知る人ぞ知るという物である。だが、正直に言って範疇としてはB級映画であることは否めない。映画の黄金期が去った後の塵といった感もある。しかし、鳴海演じる松田優作の存在感は他に類を見ないほど大きい。新進気鋭の監督村川透、そして優作と共に脚本を書き上げた丸山昇一。仙元誠三の少しセピアがかった映像美。低予算でありながら映画好き達のこだわりが其処ここに見られる。中でも松田が心酔するロバート.デ.ニーロを意識した鳴海章平の殺し屋としての鍛え方はまさしくハードボイルドの一つのあり方である。そこに挿入される時計屋を演じる森下愛子と優作のほっとした会話のやりとり。現在の日本映画界で拘りを持った殺し屋を演じきれる人間がいない事ははっきり断言出来る。他の2つの遊戯シリーズと共にこの作品も僕自身は数十回見ているだろう。B級映画でありながら人を惹きつけるものがある。それが松田を中心とした映画人の熱意であることは想像に難くない。また、これは映画とは関係ないのだが旧一万円札が出て来た時、何か日本人が拝金主義に陥ったのは一万円札が小さくなってからではないだろうかなどと考えたりもした。それはともかく松田優作に興味がある若人、今の日本映画界に不満を持つ人々そして映画はお金だけじゃないと考える人達は是非ご覧下さい。敢えてこの作品は採点いたしません。(余談-僕が「OLD CROW」というバーボンを知ったのはこの映画でした。)
  • @タバタクの採点 不可能

    515.市民ケーン CITIZEN KANE

  • オーソン.ウェルズ、ジョセフ.コットン、ルース.ウォリック、ドロシー.カミンゴア、アグネス.ムーアヘッド、ジョージ.クールリュース、オーソン.ウェルズ(W,D)/1941/119′/97.1.10
  • 1941年フロリダのザナドゥ宮殿で世界一の資産家が亡くなった。彼の名はチャールス.F.ケーンそして最後の言葉は「バラの蕾」-この言葉が一体何を意味したのか記者は真相を探る。チャールスは幼い頃お金のために資産家に養子として引き取られた。彼は新聞以外の事業には興味を示さなかった。実際、新聞社を経営し大成功を収める。しかし反面、選挙に落選、2度結婚したが2度とも離婚する。チャールスは事業を成功させお金を手中に収めたが幼い頃になくした愛情は死んでも手に入れることが出来なかった。彼の心の中は親友で劇評家だったリーランドの言葉に集約されている「君は愛してやるから奉仕しろという態度である」-これがチャールスの奇妙な死とバラの蕾の秘密を見事に表現している。この映画は古本屋で手に入れたキネマ旬報からその名前を得た。かなり専門家の評価が高かったものである。だが正直に言って最後の10分まで面白いとは感じなかった。おそらくこのフィルムの狙いは要約すると「この世で愛情だけはお金で買うことが出来ないよ」という事だと思う。映画の脚本は単純であればあるほど面白いと思うがオーソン.ウェルズが絡むと「第三の男」もそうだが脚本そのものの面白さよりも俳優にかかる比重が高くなるような気がする。お前それは映画の奥深さが分かってないよと言われそうだが今の僕にはその説明が相応しい。現在の映画よりは人生の深さも儚さも感じさせてくれるが何か一つ足りない印象は拭えない。
  • @タバタクの採点 2.41/5

    516.殺人遊戯 SATSUJINN YUUGI

  • 松田優作、佐藤慶、草薙幸二郎、中島ゆたか、佐藤蛾次郎、阿藤海、竹田かほり、今井健二、丸山昇一(W)、仙元誠三(P)、村川透(D)/1978/92′/97.1.11
  • 遊戯シリーズ第2弾。5年ぶりに浜に「復讐のメロディ」と共に殺人マシーン鳴海昌平が戻ってきた。だが、やくざの組織を潰した5年前より状況は悪化していた。その頃の女と少女もしぶとく生き抜いていた。鳴海は彼の情報を聞きつけた対立する両方の会長から仕事の依頼を受ける。鳴海を中心に壮絶な殺人劇が始まる...。最初のクレジットの助監督のところに崔洋一の名前があった。「月はどっちにでている」で一躍有名になった監督である。意外に昔の映画を見ていると監督や俳優を問わずおやっと思う名前を見ることがある。へーと思うと同時に昔は苦労していたんだなあとも考える。まさに人に歴史ありである。この映画の筋に戻ると1979年から始まる探偵物語に繋がるコミカルな演技がかなり見られる。最後の場面などはその最たるものである。これは優作自身がかなり意識してやっているのだろう。この頃に彼の映画人としての転換期が見られる。少し余裕が出たのと同時にある程度マスコミにブレイクした自分をどの様にしていこうか苦悩していたのかもしれない。この偉大なるB級映画は彼とスタッフの試行錯誤が其処ここに見られる。それだけに僕にとっては思い出深いのである。この頃は高校生で洋画などは殆ど見ていなかった。映画と言えば優作の映画しか見ていなかったのである。今はこのページに一端の事を書いているがこの遊戯シリーズが僕の原点なのである。誰がなんと言おうとも僕はこれからもこの映画を心の底に持ち進んで行く。松田優作の男の美学(今は死語になった)に触れたい方は是非ご覧下さい。また、阿藤海の演技は「傷だらけの天使」で水谷豊がやっていた役に通ずるものがあり笑える。
  • @タバタクの採点 不可能

    517.危険な天使 FATAL BEAUTY

  • ウーピー.ゴールドバーグ、サム.エリオット、ルーベン.ブレーズ、ハリス.コーリン、ジョン.P.ライアン、ジェニファー.ウォーレン、ブラッド.ドーリィフ、マイク.ジョリー、トム.ホランド(D)/1987/104′/97.1.11
  • ウーピー.ゴールドバーグ演じる刑事物。サンフランシスコの中華街で麻薬に絡む殺人事件が起きた。直ぐにブスの麻薬課リタ.リゾーリ刑事が動き出す。リタは麻薬で成り上がったクロール産業の社長に目を付ける。だが事件現場に残された薬「FATAL BEAUTY」(危険な天使)は2種類存在することが判明した。片方の強力な薬はムショ仲間のグループによる犯罪らしかった。この薬によって小学生を始め多数の犠牲者が出る。リタはひょんな事から知り合ったマーシェクと強引な捜査を進める。彼女らの正義が最後は犯人達を追い詰めるのだがそこにはリタの辛い過去があった...。マーシェクに過去を語るウーピー演じるリタの表情が見終わっても目に焼き付いている。それほど印象的な場面であった。彼女については何度も素晴らしい役者だということを言い続けている。間違いなく世界一だと思う。この映画はゴーストが出る前でウーピーが日本ではまだ余り取り上げられてない時である。その後の活躍はご覧の通りである。これからもウーピーの一挙手一投足には注目して行きたい。
  • @タバタクの採点 4.22/5

    518.失われた週末 THE LOST WEEKEND

  • レイ.ミランド、ジェーン.ワイマン、フィリップ.テリー、ハワード.ダ.シルバ、ドリス.ドーリング、ビリー.ワイルダー(D)/1945/100′/97.1.12
  • NYの小説家未満男ドン.バーナム。彼は恋人ヘレンの他にとんでもないものを所有していた。それは酒に溺れた結果であるアル中という病気であった。ドンの兄貴は弟を田舎で療養させようとしたが彼は意に反して田舎に行くことを拒みアルコールの世界へ戻る。酒のためには法に触れる事も辞さないドンは次第に自分を失ってゆく。兄貴は既に弟の病気を諦めるがヘレンは最後までドンを信じる。それにも関わらず彼女との思い出のコートがドンの最後の行為に使われようとする...。1927年アメリカでは禁酒法が制定された。しかし、この事によって地下に潜って飲酒する人間が増え、アルコール中毒が社会的な問題となる。この映画の中でもアル中を治療する病院が出てくる。そこでの現実が病んだドンには理解することが出来なかった。自分が同じ境遇だとは思わなかった。1997年あの頃から70年たった現社会においてもアル中はなくならないし、それ以上に薬物中毒という厄介な問題も出現した。人間は現状に満たされないとどんな時代に於いても快楽の世界に逃げ込み現実からの逃避を計る。周りの人間によってこのフィルムにように助け出されることもあるがそのまま放置され悲しい末路を辿る人間も多数いる。失われた週末を取り戻せる人は幸せな人なのだ。そういう事を考えさせられる映画であった。話のテンポも小気味よく映画としての完成度は高い。
  • @タバタクの採点 3.77/5

    519.ジャンピン.ジャック.フラッシュ JUMPIN' JACK FLASH

  • ウーピー.ゴールドバーグ、スティーブン.コリンズ、ジョン.ウッド、キャロル.ケーン、アニー.ポッツ、ピーター.マイケル.ゴードン、サラ.ボツフォード、ジョナサン.プライス、ペニー.マーシャル(D)/1986/103′/97.1.12
  • NYのナショナル銀行でPCを扱うごく普通のOLテリー.ドーリトル。彼女にとっての差し当たっての問題は課長だけだった。その彼女にある日届いた英国情報員ジャックからの通信文がテリーの人生を大きく変えた。この事件の裏にはアメリカ、英国、ソ連など諜報機関が絡んでいたのだった。東欧からテリーに必至に助けを求めるジャック。それに応えるために彼からの指示を忠実に実行するテリー。危険をも省みず行動する彼女を待ち受けていた結末とは...。このフィルムには諜報活動の実体という難しいテーマとウーピーの演技力、ユーモアがうまく融合していたと思う。ユーモアを交えながらもおちゃらけた映画にならなかったのはそういう事だ。最後まで緊張感が持続していた上にウーピーの遊び心もそれと同時に存在していた。それにしても英国領事館に潜り込み友達から借りたドレスをシュレッダーで切り刻まれてしまうところがなんともユーモラスで大笑いしてしまった。これは余談だが途中でテリーを追い回すスパイはジョン.ベルーシでないかと思い最後にクレジットを確認したが彼の名前はなかった。ウーピーのフィルムはかなり見ているがどの映画に於いても彼女の存在感は際立っている。我が母国日本でもこの様な俳優の出現を夢見ている今日この頃である。
  • @タバタクの採点 4.35/5

    520.俺達に墓はない ORETACHI NI HAKAWANAI

  • 松田優作、志賀勝、岩城滉一、竹田かほり、森下愛子、梅津栄、阿藤海、岡本麗、内田稔、山谷初男、石橋蓮司、澤田幸弘(D)/1979/92′/97.1.16
  • アメリカ映画「俺達に明日はない」のタイトルだけをぱくった安直な映画。内容は松田優作演じる島勝男が少年院での弟分でスナックを経営するひこと共に自分たちの欲望の侭に生きる。ところがひょんな事から島が強盗したデパートの女性みちがひこの女になってしまう。島はここでもう一人滝田という男と出会った。この男はこともあろうに島の次のターゲットの同じやくざの金庫を狙っていた。その金は滝田が先に奪うが島に捕まり、滝田は島に仲間を組むことを提案する。滝田の計画で二人は今度はやくざのとばくツアーバスを狙う。計画は成功するが二人はこの事実を知ったひことみちに憑けられることになる。お互いの目的はただ一つ盗んだお金だけだった...。ピンクレディのポスターが妙に懐かしく当時を醸し出していた。そして、彼の映画では名字と同じマツダの車が使われている。この映画は遊戯シリーズよりもっとマイナーであり、乗りだけで作ったものである。だが、松田優作という本物の俳優がいるだけで映画という物は締まるのだ。それからこの頃の彼の映画を固める脇役には本当に個性的な人が多い。この人々は今でも映画を形作るエッセンスとして活躍している。そして優作はぶっきらぼうに見えても義理堅く、苦労を共にした人々と一緒に作品を作るのである。この映画は本当に松田優作を好きな人間以外は見なくても良い。
  • @タバタクの採点 1.22/5


  • 521.カラーパープル THE COLOR PURPLE

  • ウーピー.ゴールドバーグ、ダニー.グロヴァー、マーガレット.アヴェリー、オプラ.ウィンフリー、ウィラード.フック、アコスィア.ブージア、クインシー.ジョーンズ(M)、スティーヴン.スピルバーグ(D)/1985/153′/97.1.18
  • 1909年「マキダダ」を歌うセリーとネティ姉妹。この後、この姉妹を襲ったのは非情な人生の掟であった。姉セリーは父によって子供を生まされるがその子供達はお金のために牧師夫婦に売られる。彼女は妹の代わりに「ミスター」と呼ばれる男に嫁ぐ。のちにネティが父から逃れ、セリーの所に逃げ込むが欲望を果たせなかったミスターによって追い出される。セリーはその後、ずっと妹の事を気にかけながらもこの男によって牢獄のような生活を強いられる。彼女はミスターの女だった歌手シャグの看病をすることによりこの生活から抜け出す光明を見いだす。また、どん底の状態だったソフィアにも愛を与える。シャグによってメンフィスに移り、1937年にそこでついに長年待ちわびていた人間に会うことになる。しかし、それには予想外の男が絡んでいたのだった...。「無一文」「黒人」「女」「醜い」生まれながらにしてウーピー演じるセリーは4重苦を与えられていた。この時代これは一生不幸を約束されたようなものだった。人種差別という生やさしいものではない。人間としてすら扱われていない。それがこの時代では普通であった。1985年当時のウーピーは今とは違った抑えた演技で熱演している。だが、シャグと家を出ていく時だけは今の演技に繋がる熱弁を振るう。この映画の中で不覚にも3度思わず泣いてしまった。何か黒人達だけに流れている民族の魂を強く感じたからだ。スピルバーグ監督の淡々とした時の流れの描き方とは別にこの時代に生きる黒人の息吹を感じずにはおられなかった。そして、人間というのは人間に対する愛に関しては単純で良いのではないか。そこにいちいち理屈を付けるべきではない。けれど、愛を得るのは容易な事ではない。それを簡単に得るためにマニュアルに頼ろうとする日本人に考えながら、是非見て欲しい映画の一本である。この映画の153分は決して長くない。
  • @タバタクの採点 4.89/5

    522.狼の紋章 OHKAMI NO MONSHOU

  • 志垣太郎、松田優作、黒沢年男、安芸晶子、松本正志(D)/1973/78′/97.1.19
  • 松田優作映画初出演作。原作は「幻魔大戦」で有名な平井和正。事件はアラスカで起きた。諜報活動と間違われ両親を惨殺された犬神明の記憶と体にはとてつもないものが潜んでいた。彼は日本に戻り博徳学園に入る。そこで青鹿先生と羽黒というやくざの息子に出会う。学園は羽黒を中心に暴力が蔓延り、犬神も攻撃を受けるが彼は一切仕返しをしなかった。ある夜、青鹿がチンピラに襲われ、犬神がそれを助ける。そしてその事件の時に登場する謎のルポライター神にも実は秘密があった。その後、羽黒は青鹿を囮にし、犬神をおびき寄せることに成功するところから二人いや醜い人間と狼の戦いが始まる...。志垣太郎が今のようなバラエティで見せる顔ではなく、結構迫力のある演技をしていたのが印象に残る。それからは彼も悪い意味で芸能界に取り込まれてしまったのだろう。優作は初出演にもかかわらず一つ一つの場面を自分なりに考えてやったふしがある。他大勢の演技とは明らかに異なっていた。この頃から彼が出ると暗い過去を引きずった影のあるしかもカリスマ性が感じられる。しかし、狼のちゃちな作りや動きなど低予算の映画だった事は見え見えの部分が興ざめである。時代背景を考えると日本はちょうどオイルショックの頃で学生に少しは活気が感じられたかもしれない。現在みたいに少なくとも暴力をする側もされる側も無関心ということはなかったと思う。
  • @タバタクの採点 3.07/5

    523.暴力教室 BOURYOKU KYOUSHITSU

  • 松田優作、舘ひろし、南条弘二、安西マリア、佐藤蛾次郎、山本由香利、小林稔侍、安部徹、名和広、室田日出男、小島絹子、丹波哲郎、クールス、岡本明久(D)/1976/85′/97.1.22
  • 松田優作と舘ひろしの最初で最後の共演。暴力吹き荒れる愛徳学園の新任教師となった溝口勝利。彼は喜多条仁率いる不良グループのいる3年C組に校長の命により配属になった。手荒い歓迎を受ける溝口。その後、理事長の娘のスキャンダルを収拾するための任を帯びた溝口は喜多条達の前である一面を見せてしまう。それで喜多条は暗い過去を暴くが煮えきらない溝口に業を煮やし、彼の妹純子を襲う。この事に気づいた溝口は喜多条を叩きのめすがこれが校内で行ったため新聞沙汰になり自宅謹慎処分になる。喜多条は退学処分になる。一方、自分達の利権を守るために校長は文武両道の新田達のグループを使い、喜多条グループを押さえようとする。利権を暴こうとした女教師とそれに巻き込まれた純子が犠牲になる。純子はその後、死を迎えることになる。怒りを喜多条に向ける溝口だったが真実を知ると同時に学校に乗り込み校長を血祭りに上げようとする。そこにいた新田グループそして喜多条グループ。学園は遂に戦場と化す...。舘ひろしは今でも役の幅が非常に狭い大根役者だが自分のイメージとぴったりの不良暴走族の役はやはり迫力があった。人間何でも取り柄はあるものである。優作はいつも通り暗い過去を持つ男の役をやらせれば天下一品である。しかし、舘と違うのはその後の映画を見てもらえば分かるが全く異なる役にも挑戦している。たとえば、「家族ゲーム」「陽炎座」などで。そこが彼の芸の広さ、深さである。そして、この映画に関して言えば脇役にとてもいい人物を揃えている。上のクレジットを見れば分かるが今でも活躍しているバイプレーヤーがかなりいる。この映画はB級映画の範疇ではない。場面場面の緊張感、配役の適材適所のみならず、その当時の不良のあり方、学校ぐるみの汚職、優等生の関わりや親子関係などの様々な問題をも提起している。映画というのは脚本と俳優が揃ってやるものだということがこの「暴力教室」を見ると理解出来る。是非一度ご覧下さい。
  • @タバタクの採点 4.00/5

    524.ミッドナイト.ポイズン DEADLY OBSESSION

  • ジェフリー.R.イオリオ、ジョー.パラダイス、ダーネル.マーティン、マーティン.ヘイバー、ブライアン.シーアン、モニカ.ブレッケンリッジ、ジェノ.ホーディ(D)/1988/92′/97.1.25
  • ニューヨークのニュー.ゴーサム大学が経営する乳製品会社では生産を促進するために牛に対してホルモン剤を投与していた。これが原因と思われる恐喝事件がジョン.ドゥーと名乗る男によって引き起こされる。彼は自分の会社から盗んだ殺鼠剤を使い、大学側に100万ドル要求する。その最初の犠牲者がデニスという女子大生であった。しかし、彼女は幸運にも死を免れる。捜査を開始するNY市警の犬猿の仲であるウォルッシュ警部補とディノ刑事。ディノはデニスの警備を受け持つが不覚にも彼女のルームメイトを死に至らしめてしまう。毒を持って確実にデニスに迫り来るジョン。その恐怖から彼女を守ろうとするディノ。100万ドルを用意させ、デニスをおとりに使い犯人を待つウォルッシュ。そしてとうとう数々の殺人を犯したジョンがデニスの前に立つ。デニスと100万ドルの行方は...。殆どがあまり名前を知られていない3流くらいの俳優で占められたフィルムである。こういう配役では長い演技では間が持たないが脚本によって緊張感を保つことは可能だと実証したような映画である。けれど、犯人の動機が今いちはっきりしなかった。金が目的なのか、大学の商売に対する倫理観に抗議するものか、自分の人生が旨く行かないことへの苛立ちか、女性に対する性的な興味によるものか、現在話題になっているストーカー的な犯罪でこれらの事が全て渾然一体になってものなのだろうか。いずれにしてもその点が最後まで疑問として残った。だが、全体としては時間も丁度良いし、最後まで楽しめたのも事実である。日本ではビートたけしが3流くらいの俳優でよく映画を製作する。脚本がそこそこ練られていれば作品として成り立つものを作ることは可能なのである。
  • @タバタクの採点 3.53/5

    525.ポセイドン.アドベンチャー THE POSEIDON ADVENTURE

  • ジーン.ハックマン、アーネスト.ボーグナイン、シェリー.ウィンタース、レッド.バトンズ、キャロル.リンレイ、ロディ.マクドウェル、ステラ.スティーヴンス、ジャック.アルバートソン、パメラ.マーティン、アーサー.オコーネル、レスリー.ニールセン、ロナルド.ニーム(D)/1972/117′/97.1.28
  • 大晦日の夜ニューヨークからアテネまでのクルージングを楽しむ老客船ポセイドン(天災の神)号。この客船はオーナーの無理な航海によって諸に海底地震の影響を受けることになる。その恐怖は大晦日のパーティで浮かれていた乗客達を突然襲う。必死に船を立て直そうとするクルー達。パニックに陥る乗客。遂に船は荒波によって転覆してしまう。自力で脱出しようとするスコット牧師達。助けを待つパーサーを中心とする乗客達。スコットの忠告を無視したパーサー達は無情にも水に飲み込まれてしまう。必死に出口を探すスコット以下8名の者達。お互いにぶつかりながらも助け合いスコットを信じて突き進む。数々の選択肢の中でスコットは自分を信じて船尾にある機関室へ向かう。その中で各々の悲劇がありながらも何とか機関室にたどり着く。しかし、その道には犠牲者の魂が宿っていた...。自分もスコット達と同じ境遇になったような気がして最後まで手に汗握ってかじりついて見てしまった。ジーン.ハックマン演じるスコット牧師の懸命な演技は心を打たれた。船首か船尾か選択しなければならなかった時の「人数が多ければ正しいのか?」というセリフは非常に記憶に残った。なぜかというと今の日本には阪神大震災や重油問題のような重大な危機の時にこの様に自己の信念に基づいて導いてくれる人間がいないからだ。これはもしかすると独裁ということになるのかもしれないのだが重大な危機の時は仕方がない部分があるのだ。こんな場面では会議など開いて決議などしている場合ではない。日本でなぜそれが出来ないかというと自分で責任を取ることが嫌なのである。無責任が蔓延る日本では25年前にアメリカで作られたこの映画のようなものを製作する事は不可能であろう。危機一髪の時に如何に決断力が必要かということをこのフィルムいやスコット牧師から教えられた。蛇足だが「裸の銃シリーズ」で有名なレスリー.ニールセンが真面目に演技していたが何となく現在の片鱗が見えて笑えた。(当時45歳くらいだろう。)
  • @タバタクの採点 4.85/5

    526.ウォール街 WALL STREET

  • チャーリー.シーン、マイケル.ダグラス、ダリル.ハンナ、マーティン.シーン、テレンス.スタンプ、ハル.ホルブルック、ショーン.ヤング、ミリー.パーキンス、オリバー.ストーン(W,D)/1987/128′/97.1.31
  • ウォール街で働くうだつの上がらない株式ブローカー.バッド.フォックス。その彼に大物投資家.ゴードン.ゲッコーから電話が入る。ゲッコーはバッドを旨く誑かし重要な人物を彼に調査させる事により自己の投資を有利な方に導こうとしていた。それとは気づかずにバッドは大物取引とゲッコーの女ダリアンに夢中になってしまう。バッドはこともあろうに父カールが勤めるブルースター航空の株を買い、乗っ取ることを進言する。だが、ゲッコーはうまく立ち回りバッドを欺く。父の心臓発作によってバッドは自分自身を取り戻すことになる。しかし、彼を待ち受けていたのは現実であったがそれを受け入れると同時にバッドは最後の爆弾を放つ...。最初は虚勢を張り、自分を大きく見せようとするバッドをチャーリー.シーンが実に旨く演じていた。それに絡む百戦錬磨の投資家ゲッコー役マイケル.ダグラスの老練さもチャーリー.シーンとのやり取りの中で活きていた。ウォール街に渦巻く誘惑と欲望の嵐の中で蠢く兎にもてあそばれる男。しかし、その中身には本当の男も存在した。これがやりがいのある仕事というのだろうか。現実の仕事が余りにも単調な事を考えると仕事にロマンを持つ気持ちはよく分かる。自分もああいう大きな仕事が舞い込んで来てしまったらやはりバッドのような行動に出てしまうだろう。昨今、自分の仕事に退屈を感じる人達には是非見て欲しい作品である。
  • @タバタクの採点 4.01/5

    527.ジャックナイフ JACKNIFE

  • ロバート.デ.ニーロ、エド.ハリス、キャシー.ベーカー、チャールズ.ダットン、エリザベス.フランツ、トム.イザベル、ロウドン.ウェインライト・、デヴィッド.ジョーンズ(D)/1990/99′/97.2.1
  • 「ディア.ハンター」に続くベトナム帰還兵の物語。コネチカットの早朝に突然現れたベトナム帰還兵ジョゼフ.メグスが戦争以来久しぶりに友達デビッドを釣りに誘うためであった。彼等はデビッドの妹マーサを連れて釣りに出かけるがデビッドの表情は何故か曇っていた。現在メグスは自動車修理工、デビッドはトラックでそれぞれ生計を立てていた。彼らの記憶の中にはいつもベトナムで戦死した親友ボビーの姿があった。それを外に出そうとするメグスと内に篭り家族にすら自分を見せないデビッド。メグスはデビッドに接近していく内に妹マーサを愛するようになる。デビッドはボビーを死に追いやったメグスを許すことが出来ず、マーサに彼と別れるように忠告する。しかし、マーサは卒業パーティにもメグスを誘い、お互いにドレスアップして出かける。酒に溺れるデビッドは自分の誇りハイスクールに入り込み、乱暴をはたらく。彼を気遣うメグスとマーサ。マーサの前で彼らは遂にベトナムについて語り出す。ボビーに「ジャックナイフ」と呼ばれたメグスと「ハイスクール」と呼ばれたデビッド。お互いの心の蟠りは次第に氷解していく。そして彼らには実行すべき約束があった...。エド.ハリス演じるデビッドが最後の方で語るセリフが今の私の心に突き刺さる。その言葉はボビーによって発せられた「君にも必ず心が休まる女が現れる。その時君は本当の幸せを感じるだろう」というものだ。その日を私も待っているのだが...。それにしても20年以上経ってもベトナム戦争による心の傷が癒えない人間がアメリカにもいやベトナムにもたくさんいるだろう。あの戦争が人々に与えたものはこれらの帰還兵には申し訳ないが苦しみでしかない。それは目に見えるものだけではなく、心の中に潜むものも多い。この映画は派手な演出こそないがところどころでこの戦争に対する批判が出てくる。そしてそれを取り巻く家族や友達の心の動きも。途中でメグスとマーサのセックスシーンが出てくるが本当にさらっとしたものである。比べてこの日本では脱ぐと一人前の俳優になったとか言うが演技というのはそんな短絡的なものでないことをこのシーンから認識して欲しい。
  • @タバタクの採点 4.72/5

    528.さよならは言わないで EVERY TIME WE SAY GOODBYE

  • トム.ハンクス、クリスティーナ.マルシュラック、ベネディクト.テーラー、アネット.アツモン、ジラ.アルマーガー、モニー.モショノフ、アヴナー.ヒスクヤフ、モシェ.ミツライ(W,D)/1989/98′/97.2.2
  • スペイン系ユダヤ人彼らは「セファルディ」と呼ばれてラディノ語をずっと守ってきた。その民族の末裔とアメリカ人の恋物語。1942年エルサレムの英軍に志願兵デービッド大尉の姿があった。英軍は独軍と戦うためにここに駐留していた。そして彼は友人ピーターの結婚式で運命的な出会いをする。彼女の名前はサラでスペイン系ユダヤ人であった。デービッドはサラに求愛するが最初の内彼女はそれを拒むが次第に彼に心を動かされていく。しかし、そこに立ちはだかったのはサラの家族であり、宗教的な問題であり、民族の歴史であった。デービッドとサラの愛は家族に知れ渡る事になり、二人は窮地に追い込まれる。そしてついにサラはデービッドのエジプト行きを機に彼と別れ、家族のために幼なじみのニシムと結婚しようと決意する。デービッドは諦めきれずに彼女に会いにエルサレムへ向かうがそこには現実が待ちかまえていた。失意のまま、彼は飛行場へ向かうが...。1942年の時代考証の割には映像が新しく、少し違和感があった。それと満たされぬ恋物語にしては緊迫感が希薄だったような気がする。この監督はユダヤ人だと思われるし、出演者も名前からするとユダヤ人が多い。だが、映画という観点からするともうちょっと練り込みが必要である。トム.ハンクスは軍人を演じるにしてはベビーフェイス過ぎる。この辺にも映像の締まりの原因があるのかもしれない。それに比較してクリスティーナ.マルシュラックはコケティッシュで非常に可愛らしい表情が印象的だった。もう少し脚本や配役に気を配れば良い映画になる素材を秘めた作品である。
  • @タバタクの採点 3.15/5

    529.モスキート.コースト THE MOSQUITO COAST

  • ハリソン.フォード、ヘレン.ミレン、リバー.フェニックス、ジャドリエン.スティール、ヒラリー.ゴードン、レベッカ.ゴードン、ジェイソン.アレクサンダー、マーサ.プリンプトン、ピーター.ウェアー(D)/1986/119′/97.2.6
  • 息子チャーリーが語る頑固で偏屈な発明家の父アーリー.フォックスを。アーリーは現実の生活に対する嫌気と核戦争でアメリカが消滅するという理由の下で故郷ハットフィールドを捨て家族と共に未開の地モスキート.コーストを目指す。その中でも開拓されていないジェロニモという土地を自然と見事に調和する村にしようとする。当初、畑、魚の養殖や家畜の飼育によって目的は達せられようとしていた。だが、火から氷を作る装置を製作したところから運命が逆転しだす。この装置によって銃を持った闖入者を殺してしまう。これにより他の場所に移動することを余儀なくされる。家族はアメリカに帰る事を望んだがアーリーは断固としてアメリカは消滅したと虚偽を述べ、上流に居場所を探す。頑なに人の施しを断る父。心身ともに疲れる家族は父に対して殺意すら抱くことになる。チャーリーは船で知り合ったエミリーという少女に活路を見いだすがアーリーは同じく船で知り合った牧師に反感を抱き教会を焼き払ったところで牧師に撃たれる。この事件で船に父を乗せ家族は帰途に着くことになるが...。眼鏡を掛け表情を歪まして理屈っぽい主人公アーリーはハリソン.フォードに適役であった。そして今は亡きリバー.フェニックス演じるチャーリーの淡々とした父に関する語りが何とも言えない雰囲気を醸し出していた。しかし、途中一寸間延びした感は否めないと思う。それにしてもリバー.フェニックスの面構えは子供とはいえ印象深いものである。彼が今生きていたら色々なフィルムに引っ張りだこであったろう。それほどに惜しい人材である。それにしても半狂人の父に最後まで愛情を抱いていたのは他ならぬチャーリーではなかったのか。それを最後の場面に痛切に感じた。
  • @タバタクの採点 3.01/5

    530.ガンランナー THE GUNRUNNER

  • ケビン.コスナー、サラ.ボッツフォード、ポール.ソールズ、ジェラード.パークス、ロン.リー、ミッチ.マーティン、ラリー.ルイス、ナルド.カスティーヨ(D)/1989/75′/97.2.9
  • 私は個人的にケビン.コスナーは余り好きではない。特に最近の映画は見る価値のないものが殆どである。これは今から8年前のフィルムだがそこには現在のような自信満々のケビンの姿はない。物語は世界を旅するテッド.ボーヴィエがフランス系移民で金持ちだった父の故郷カナダにある意志を持って戻るところから始まる。父の屋敷に帰ると待っていたのは弟ジョージの情事であった。だが、この国はテッドが案じていた通り、アメリカの禁酒法を悪用した拝金主義が蔓延り一部の金持ちだけがいい思いをしていた。ウィルソン上院議員、ローブマン、マックス、モード、バーニー彼らの目的はお互いの足を引っ張り私腹を肥やすだけであった。これに対抗し国民の平等を訴える社会主義の指導者がテッドの友人フレッドだったが「アカ狩り」と称され弾圧されていた。テッドはこの国を憂い、中国やこの国の拝金主義者達から武器を手に入れ、クーデターを企てていた。ローブマンの息子の誘拐からテッドらの計画は加速度を付けて進んで行く。そして港には「サターン号」が...。時間から言っても俳優の顔ぶれからも低予算の映画な事は確かである。時代考証も今から40年以上前だろう。映像はその頃の雰囲気をそこはかとなく表現していたと思う。それから軽い映画と思っていたが社会正義や最後の中国のフィルムはそれを否定するものを十分持ち得た。それにしても人間というのは8年でこれだけ変わってしまうのか。若いというより幼い表情という印象のケビンである。しかし、今まで見た彼の映画の中では見終わった感じがとても心地良い。派手なアクションも設定もないという事はそれだけ俳優と脚本に掛かる比重が大きい。それから評価すると佳作と言っていい。
  • @タバタクの採点 3.95/5


  • 531.生きる IKIRU

  • 志村喬、小田切みき、伊藤雄之助、宮口精二、日守新一、田中春男、千秋實、左卜全、藤原釜足、金子信雄、渡辺篤、木村功、浦辺粂子、丹阿弥谷津子、菅井きん、加藤大介、黒沢明(W,D)/1952/143′/97.2.9
  • 私は黒沢監督作品を初めて見た。この映画は日本のみならず外国でも高い評価を受けたものである。俳優の面々を見ると非常に渋いバイプレーヤーと呼ばれる役者ばかりである。しかし、この作品は私の予想を良い意味で遥かに超えるものであった。志村喬演じる市役所市民課課長の渡辺勘治は30年間無欠勤を続けていた。ただ役所には判子の忙しさを味わうためだけの暇つぶしで来ていただけだった。自分が生きているという感覚などは一度も感じたことがない。それがある日病院で胃ガンの宣告を受ける。彼は30年間したこともなかった放蕩を繰り返しながら自分の人生を振り返ることになる。息子にも愛想を尽かされ、戸惑う周囲を尻目に彼は放蕩を続けるが自分のことを「木乃伊」と言った女性の言葉をきっかけに自分が死ぬまでにまだやれる事があると思い直す。勘冶はたらい回しにされていた汚水で困っていた地域の公園を作ることに熱意を燃やす。役所の機構や縄張り意識などをかなぐり捨て、時には助役にまで楯を突いた。彼の熱意が通じ公園は完成したがその場所で勘冶は唄と共に命を落とす。彼の遺産は役所の連中には理解されなかったが市民の気持ちの中に充分入り込むことが出来た。勘冶は最後に自分の人生を生きたのだ...。通夜の席で醜態を晒す助役を始めとする役所の面々。この映画は45年前の作品だが現在でも役所の状況は全く変わっていない。口先ばかりで自己の責任を果たそうとしない。お役人というのは未来永劫変化しない動物なのだろうか。渡辺勘冶のような人間を多く輩出することは不可能なのだろうか。今この映画を見ると役所は45年間変わっていないということを再認識できる。そして自分の人生をただ浪費しているだけの人間が多いことも。それと勘冶が映画の中で歌っていた「ゴンドラの唄」のしみじみと心に沁みかつ映像に余りにも当てはまっていること。現在でこの作品を作るとしたら小室哲哉の歌ででも作るというのだろうか。日本の映画界の凋落が叫ばれて久しいが歌の凋落もそれに拍車をかけていることは疑いようのない事実であろう。それにしてもこの映画は世の中にただ存在しているという現代人全員に見てもらいたい。そして45年前にこのフィルムを作ることが出来た黒沢には脱帽するのみである。
  • @タバタクの採点 5/5

    532.ブルーマンハッタン BLUE MANHATTAN ・

  • ロバート.デ.ニーロ、チャールズ.ダーンハム、アレン.ガーフィールド、アブラハム.ゴーレン、ブルース.プライス、ララ.パーカー、ララ.リッキー、ララ.アンディ、ブライアン.デ.パルマ(D)/1970/90′/97.2.11
  • 「哀愁の摩天楼-HI, MAM !」野心を持ってマンハッタンのサセックス通り140にアパートを決めたジョン.ルビン。彼は最初にあるアパートの盗撮を使ったポルノ映画の企画を有名?プロデューサーに持ち込み了承される。この企画は結局失敗に終わるがこの時に知り合った女ジュディを口説き落とす。次にジョンは「ビ.ブラック.ベイビー」などという劇を企画し脅迫まがいに黒人の人権を主張するグループに近づく。そして自ら警官役としてその劇に出演し、もっと過激な方向に彼らを導こうとする。彼は綿密に計画を施し、都市ゲリラを組織し、果てはマスコミまで利用しようとする...。全体の感想と採点は・を見た後で書きます。
  • @タバタクの採点 ・を見た後で

    533.ブルーマンハッタン BLUE MANHATTAN ・

  • ロバート.デ.ニーロ、ジェリエット.グラハム、ジョナサン.ワーデン、ブライアン.デ.パルマ(W,D)/1970/90′/97.2.12
  • 「黄昏のニューヨーク-GREETINGS」テレビではジョンソン大統領がベトナムの駐留の延期を表明している。それから徴兵検査を受ける中でのジョン.ルビン、ポール、ロイドの行動。ポールはその合間にコンピュータ.デートに勤しむが殆どが空振りに終わる。ロイドはケネディ暗殺の細部を延々と語る。ジョンは飾り窓を利用し、女の映像を撮りながら自己の欲望を満たす。そして、最後は徴兵検査を経て、ベトナムに乗り込み現地でもベトコン相手にテレビのリポーターの前で同様の行動を起こすのだが...。この映画はいろいろな事象がありながらも人間というのは欲望を抑えきれないという事を表したかったのか。ロバート.デ.ニーロ、ブライアン.デ.パルマという一流の取り合わせでありながらこのフィルムはすごくおたくの匂いがする。ただし、挿入される曲に関しては映像とピッタリ一致し、秀逸の出来と言わざろうえない。それとテレビの映像を実に効果的に使っていたと思う。それぞれの青春、それぞれの欲望、それぞれの音楽、時代の事象の数々...。良い映画なのかたいしたことのない映画なのか僕如きには判断できない。だが見終わった後何か消化しきれないものが私の心の中に残ったことは確かである。
  • @タバタクの採点 0/5

    534.フランティック FRANTIC

  • ハリソン.フォード、ベティ.バックレイ、ジョン.マホーニー、ジミー.レイ.ウィークス、ヨーゴ.ヴォヤージス、ディヴィッド.ハドルストン、エマニュエル.セイナー、ロマン.ポランスキー(W,D)/1988/120′/97.2.13
  • サンフランシスコ発862便で妻サンドラとパリに医学学会のために降り立った外科医リチャード.ウォーカーは着いて早々ホテルでサンドラを誘拐される。この事件は妻が空港で間違えたスーツケースが原因で起きた。そして事の発端は薬の密売人であったデデという男がミッシェルという女に依頼した仕事で背後にはアラブの組織が絡んでいるようであった。アメリカ大使館もフランス警察も頼りにならずリチャードは自力で妻を捜すことを余儀なくされる。彼はミッシェルを突き止めると彼女と共に事件の真相を探る羽目に陥る。誘拐犯の目的はどうもスーツケースの中の「自由の女神」にあるようだった。この中には大きな国家犯罪に関わるような電子部品が入っていた。そしてリチャードは一回目に妻の救出に失敗するが二回目は犯人を自由の女神の前におびき寄せ、サンドラの救出には成功するのだが...。緊張感が最後まで持続しておりそこそこ楽しめた。得体の知れない犯人とパリの街並みが映画を演出するのに役だったと思う。また、異国の地では役所の仕事は役に立たないし、外国人に対しては警察も親身になって動いてくれない。これは何もフランスに限ったことではないが...。ハリソン.フォードについてはいつも通りポーカーフェイスで淡々と演技をこなしていた印象だ。またベティ.バックレイは2番目にクレジットされているが殆ど演技らしい演技はしていない。友情出演といったところか。
  • @タバタクの採点 3.47/5

    535.七人の侍 SHICHININ NO SAMURAI

  • 三船敏郎、志村喬、木村功、宮口精二、稲葉義男、千秋實、加東大介、津島恵子、島崎雪子、藤原釜足、左卜全、東野英治郎、上田吉二郎、多々良純、渡辺篤、山形勲、黒澤明(W,D)/1954/207′/97.2.15
  • 戦国時代、世の中が荒れて野武士の横行が農村などに於いて頻発していた。ある農村では村の長老を筆頭とする話し合いにより野武士から村を守るために武士を雇うことを決めた。だが、当初は白米だけで動いてくれる奇特な武士など存在しなかった。島田勘兵が子供の人質事件でこの村に現れるまでは...。そして遂に志村喬演じる島田勘兵が武士のプライドと百姓達を守るために立ち上がる。彼は弟子志願の勝四郎と二人で腕前を試しながら目に叶った5人を集めることに成功する。しかし、ひょんなことから酒好きで荒くれ者の菊千代?も同行することになる。最初、百姓達は戦に慣れていないことや家をなくされるなどの不満から勘兵を始めとする武士達の言うことを聞かなかった。そういう訳で竹槍を持った戦の訓練も捗らなかったが菊千代らの行動によって百姓達は次第に打ち解けてゆく。時は経ち、農作物の収穫も始まるが一向に野武士が現れる気配はなかった。その中で勝四郎は百姓の娘志乃と禁断の恋に落ちてゆく。だが、その時に野武士達は出現した。30人くらいいた彼らは「種子島」という火縄銃を手に持っていた。勘兵達は戦略を張り巡らしながら百姓達と力を合わせ、犠牲者を一人二人と出しながらも野武士達を少しづつ壊滅へと追い込んでいった。平八が作った旗の下で泥と雨の中、彼らは武士のプライドと村を守るため必死に戦った...。私はこの映画を見ていなかったのでこのページの432.セブン.フォースというカザフスタンの映画が七人の侍を模したものだということがその時点では分からなかった。今、内容を思い出すと確かにそっくりである。また、ブルース.ウィルス主演で黒澤映画「用心棒」を基にして、アメリカ版用心棒を作ったらしい。そういう風に手本にされるだけのものを十分に持ち得た監督と作品群である。更に落合信彦氏がこの映画を「世界一の映画」だと本に評していたがそれも宜なるかなである。当時の時代背景、武士の生き方、百姓の生き方、戦場での人間の心理状態、百姓の武士に対する感情、武士の百姓の見方、差別など様々な表情が黒澤の手によって実に生き生きと蘇っている。また、絶望する老婆に向かって言う「あの世に辛いことなどない」というセリフに代表される数々の言葉の素晴らしさ。三船敏郎演じる菊千代の破天荒でコミカルな演技は今の三船からは考えられないほど新鮮なものであった。悪役野武士の大将が東野英治郎で彼が我々の世代の「水戸黄門」だったことを考えると時代は流れるのだなと思った。それにしてもこの「七人の侍」は私などが評価を下せるような作品ではない。「生きる」の時もそうだったがこの日本でも映画で世界をリードしていた時代があったのである。それを考えると現在は話の面白さばかりに囚われて人間の心を無視した作品(野武士にすらなりきれない半端者)ばかりが横行している。
  • @タバタクの採点 不可能

    536.燃えてふたたび TWICE IN A LIFETIME

  • ジーン.ハックマン、アン.マーガレット、エレン.バースタイン、エミー.マディガン、アリー.シーディー、スティーヴン.ラング、ダーレル.ラーソン、ブライアン.デニー、バド.ヨーキン(D)/1985/107′/97.2.17
  • シアトルの郊外の鉄鋼所に勤める50歳の誕生日を迎えたハリー。妻ケイトが欠席したあるバーでの誕生パーティで彼は運命的な出会いをする。その女性の名はオードリーで彼女はたまたまこの店に勤め始めたばかりであった。彼女によってハリーは男を呼び覚まされた。ハリーは周りの状況も考えずにオードリーに近づいてゆく。それが妻の耳に入り、ハリーは周りから非難を受けることになる。それでもオードリーを諦めきれないハリーは妻と家族を捨て、アパートで一人暮らしを始め、彼女を受け入れる準備をする。悩み、抜け殻になったケイトを励ます子供達。オードリーと男と女の愛を堪能するハリー。だが、ハリーの心の中から家族の姿が完全に消えたわけではなかった。父がいなくなった事により結婚を決意したヘレンのもとにハリーは再び現れる。娘の結婚式で妻を前にし、彼の胸の奥に去来したのはおそらくオードリーと交わした最後の言葉だったのだろう...。最初の45分くらいはつまらなくて途中でやめてもう一回見ようと思ったくらいの作品であった。後半はジーン.ハックマン演じるハリーが自分の欲望のために一方的な恋に走りながら、オードリーの言葉によって少し我に返るのが印象的であった。最近は日本でも老いらく(50歳には当てはまらないが)の恋などと呼ばれて退職寸前に若い娘に走るというのがある。「濡れ落ち葉族」と馬鹿にした女どもに対する反抗ともとれるがやっぱり死ぬまで男と女はその本質を忘れてはいけないという事だろう。夫婦になればなおさらなのである。
  • @タバタクの採点 2.41/5

    537.アラバマ物語 TO KILL A MOCKINGBIRD

  • グレゴリー.ペック、ジョン.メグナ、フランク.オヴァートン、ローズマリー.マーフィー、ルース.ホワイト、ブロック.ピータース、ロバート.ムリガン(D)/1962/129′/97.2.20
  • 1932年アラバマ州メイカム郡。この古ぼけた町に妻と死別し、二人の子供と生活するアティカス.フィンチは弁護士業を営んでいた。二人の子供の名はジェムとスカウトであった。二人とも悪戯盛りである。それからフィンチ一家の側には得体の知れない動物「ブー」が住んでいるという噂があった。二人の子供と淡々と暮らしていたアティカスだったがニグロ(黒人)のトム.ロビンソンという男の弁護を判事に頼まれ引き受けることになる。彼はこの事により強姦被害者の父ユーウェルを中心として白人達に誹謗、中傷される。子供の問題を抱えながらも必死に被告を弁護するアティカスだったが陪審員の判決は非情なものであった。しかし、それを見守っていたジェムとスカウトの目には父の正義の姿が焼き付いていた。だが、この裁判は意外な展開を見せる。そして、ジェムとスカウトがその犠牲にされようとした瞬間、彼らを助けた人物は...。アメリカの映画らしく裁判の場面は淡々とした中にも緊張感があり、場面展開に興味をそそられた。その場面で時々映し出されるジェムとスカウトの表情が父親に対する尊敬の念と裁判の展開の不安感を表すのに役立っていた。白人の黒人排除の論理や態度がグレゴリー.ペック演じるアティカスの口から批判を込めて語られていた。そして、隣人や人種差別はこの時代の象徴だったのだ。(注:モッキンバードは本編ではマネシツグミと訳されている)
  • @タバタクの採点 2.99/5

    538.イル.ポスティーノ IL POSTINO (THE POSTMAN)

  • フィリッペ.ノイレ、マッシモ.トロイジー、マリア.グラツィア.クチノッタ、リナート.スカルパ、リンダ.モレッティ、セルジオ.ゾリ、カルロ.ディ.マイオ.ナンド.ネリ、マイケル.ラドフォード(D)/1995/109′/97.2.22
  • イタリア映画。詳細は分からないが評判が非常に高い作品のようだ。物語は1950年代イタリアの小島のカラ.ディ.ソットという所に住み、父の仕事漁師を継ぐことを拒むマリオ.ルオッポロが臨時の郵便配達人になるところから始まる。彼の仕事はチリから亡命によってこの地に着いた世界的に湯名な愛の詩人パブロ.ネルーダに手紙を配達することであった。ただ、パブロはその上、この時代には排除されていた共産党員でもある。最初は手紙だけを運んでいたマリオだったがパブロに自著を貰った時から詩に興味を示し出す。そして、マリオは美しい海岸や彼の書斎で「隠喩」や言葉の使い方を学ぶ。それと同時に共産党員にもなった。マリオはある酒場の娘ベアトリーチェに恋をする。彼はパブロに相談し、詩を通じて遂に彼女の気持ちを掴むことに成功するが彼女の叔母によって恋愛を邪魔される。マリオは悩むが強引な方法でベアトリーチェと結婚し、同時にパブロは祖国に帰れることになった。その後、パブロはマリオに対して音信不通になったがマリオの心の中にはしっかりとパブロの意志が刻み込まれていた。そして、久々にこの地を訪れたパブロ夫妻を待っていたのはマリオの息子「パブリート」とマリオが彼のために作った島の美しさを表現するテープだけであった...。この映画に素晴らしく綺麗な風景があり、それを形成する人物達の素朴さが存在することは認める。又、この詩人が実在の人物で「マッシモ」という人に捧げたフィルムでもある。詩を用いた恋愛の儚さもある。現実の汚い選挙も描いている。だからそれがどうしたというのが見終わった正直な感想である。映画は単純な方がいいというのが私の持論だがこの映画はその単純さの中に埋没してしまった感があるのだ。最近の日本人がこの程度のもので感動を受けるということは如何に日常の中にある一寸した幸せに気づく感受性が欠けていることを象徴している。そして、それを感じさせてくれる映画も極端に少ないという事である。その点では意味のある映画かも知れない。だが、イタリアの巨匠フェデリコ.フェリーニの「道」などと是非比較してもらいたい。人間の心理描写という面ではこの映画はその上っ面を舐めているに過ぎないということを痛感するだろう。ただ、少しでも現在のドタンバタン映画からの脱却ということで一石を投じたことは良かったと思うが...。
  • @タバタクの採点 2.01/5

    539.T-レックス THEODORE REX

  • ウーピー.ゴールドバーグ、ポンス.マー(T-レックス)、アーミン.ミューラー.スタール、ジュリエット.ランドー、バド.コート、スティーブン.マカーティー、ジョナサン.ベテュエル(W,D)/1995/92′/97.2.22
  • 恐竜オリバーとクローン人間アダムが何者かによって殺害された。事件の背後にはケインという大金持ちが企む「新氷河期」という名の人類滅亡計画があった。この計画を実行するためにケインは研究所を作り、ここで絶滅寸前の動物を復活させたり、「ニュー.エデン」と呼ばれる動物園で絶滅寸前の動物を番で所有したりしていた。ひょんなことからこの事件を担当することになったのがケイン氏に作られ、グリッド警察の広報にいたT-レックスという恐竜とベテランの女刑事ケイティ.コルトレーンが任命された。二人はどたばたを繰り返しながらも真相にだんだん近づいてゆく。そして実はケイティにも体に秘密が潜んでいた。捜査が進む中、彼らは二人の大事な者をそれぞれケインに人質としてとられ、研究所に救出に向かう。そこでT-レックスとケイティが見たものは太陽に向けて発射されようとしていた巨大なロケットであった...。まあ、この映画を下らないといえば言えるのだろう。特に恐竜を刑事にする必要性は余りないかもしれない。この博士の狂気さもフィルムからはそんなに伝わってこなかった。「人類に対する警告」などという大それたことも考えていないだろう。唯一の救いはポンス.マーという名のT-レックスとウーピー演じるケイティの軽妙なやりとりくらいだろう。(T-レックスはジム.キャリーを彷彿させる場面もあった。)暇つぶしやウーピーの熱狂的なファン以外はあまり見なくても良い。
  • @タバタクの採点 2.14/5

    540.リービング.ラスベガス LEAVING LAS VEGAS

  • ニコラス.ケイジ、エリザベス.シュー、ジュリアン.サンズ、マイク.フィッギス(M,D)/1995/112′/97.2.23
  • 酒に浸り、妻子をなくし、友達から金を借り、仕事からも知人からも愛想を尽かされる脚本家ベン.サンダーソン。彼は酒浸りのまま、ロスを捨てラス.ベガスへ向かう。そこでサラという娼婦に出会う。その時サラはユーリというラトビア出身の指名手配の男に働かされていた。彼女はあの行為がなしで始めて会ったアル中ベンの身の上話を聞き、自分の話もする内に彼の「時間のなさ?」に気付き、ベンを本気で愛してしまった。サラは遂に自宅にベンを匿い、酒浸りの彼の好き放題にさせた。彼女には受け入れられたベンだったが周りからはだんだん拒絶されていった。違う娼婦をサラの家に引っぱり込んだところでベンはそこを追い出される。その直後、失意の彼女にも不幸が訪れる。二人は離ればなれになる。しかしその後、アル中が末期症状を示したベンのもとに「天使」が再び舞い降りる...。ニコラス.ケイジ演じるベンの顔の表情の変化が印象に残った。アル中の進行具合とニコラス.ケイジ独特の気弱なベビーフェイスが相乗効果を示して、場面を引き締めていた。それと監督マイク.フィッギスが音楽も担当していたのは少し通常の映画よりバックに入る音楽の音量が強めだったことを考えると曲と挿入場面にかなりの拘りが感じられた。だが、女というのはこういう恋愛もするのかということが私如きには最後まで理解出来なかった。
  • @タバタクの採点 2.55/5


  • 541.エアポート'75 AIRPORT 75

  • チャールトン.ヘストン、カレン.ブラック、ジョージ.ケネディ、エフレム.ジンバリストJr、スーザン.クラーク、ヘレン.レディ、リンダ.ブレア、グローリア.スワンソン、エリック.エストラーダ、ジャック.スマイト(D)/1974/95′/97.2.25
  • 腎臓病の少女、シスター、酒浸りの芸能人、売れない映画俳優、飛行会社の妻子など様々な120名の乗客を乗せ、エルコ空港を大雨の中ロスに向けて離陸したコロムビア航空409便。雨のためソルトレイクに緊急着陸寸前その悲劇は起こった。なんとそのジャンボ旅客機に心臓麻痺を突然起こした男のセスナ機が激突したのだ。機長は重傷、副操縦士と機関士は死亡という最悪の事態に陥った航空機は一人のスチュワーデス.ナンシーとそれを指示する彼女の恋人アラン.マードックの手に委ねられた。必死に操縦するナンシーとそれを補佐するアラン。それから航空会社は救出を空軍に依頼するが409便に移ることは失敗に終わる。墜落必至の絶体絶命の危機にアランは命を懸け、乗客と恋人を守るために立ち上がる...。アラン演じるチャールトン.ヘストンとナンシー演じるカレン.ブラックのやり取りが最後まで手に汗握るという感じで緊張感を持って見れた。余りの緊張感で最後は涙が出てきた。これがまさに脚本は単純だが映画の醍醐味を味あわせてくれる作品なのである。そして痛感したのは現在は映像を重視し、言葉のうけを狙っているあまりに逆に言葉を軽視しすぎているという事である。少し前の映画はセリフが作品を大いに盛り上げていた部分が大きいと思う。そのセリフを書くためには人間描写を普段から気にしていないととんちんかんなものになってしまう。昔の映画は人間描写に秀逸でセリフに気を使っているから記憶に残るである。現代映画のようにその映画を見た人の多さが映画そのものの評価を決定するのではない。これは余談だが今の若い人は知らないと思うが私たちの世代には懐かしい「刑事ジョン&パンチ」のパンチ役エリック.エストラーダが機関士役で出演していた。
  • @タバタクの採点 4.15/5

    542.レナードの朝 AWAKENINGS

  • ロバート.デ.ニーロ、ロビン.ウィリアムズ、ジュリー.カブナー、ルース.ネルソン、ジョン.ハード、ペネロープ.アン.ミラー、マックス.フォン.シドー、オリバー.サックス.M.D(原)、スティーブン.ザイリアン(W)、ペニー.マーシャル(D)/1990/120′/97.3.3
  • これは真実の物語である。私自身、この映画は1991年に日本で公開された直後に見て非常に印象に残っていた。「真実」の内容は1969年夏、NYの慢性神経痛患者専門ベインブリッジ病院にマルコム.セイヤー医師が来た時から始まる。セイヤーは臨床経験がなく、ただ大学で研究に勤しんでいた医者であった。だが、医師の不足で困っていた病院側はセイヤーを雇うことに決める。彼はそこでパーキンソン病他神経病の実体に唖然とする。セイヤーはこれをなんとか改善の方向に持っていこうとするが他の医師達は現状に絶望し、看護婦エレノア以外は一様に無関心の態度をとっていた。その時彼は一人の患者に出会う。その患者の名前はレナード.ロウといい、20歳の時から30年もこの病院に入院していた。レイヤーはレナードの病気が1920年代に流行った「嗜眠性脳炎」であることを突き止めるとまだ実験中であったL-ドーパ(合成ドーパミンの一種)というパーキンソン病の治療薬を選択し、レナードの母に許可を得、彼に投与を開始する。この薬は劇的な効果をもたらし、レナードは30年の眠りから覚める。この効果により周りの協力も得ることができ、他の患者への投与も開始する。物事は全てが良い方向に進んでいた。しかし、その時愛するポーラとの道を絶たれたレナードが薬の副作用と思われる症状を呈した。彼は緊張病を再発させ、元の自分にだんだん戻っていった。その過程の中で彼は自分に再び命を与えてくれたセイヤーに感謝の意を示し、次第に病状が進行してゆく自分の姿を彼に記録させた。病状進行の中でセイヤーはレナードに再び命を与えたことを悔いるのだが...。ロビン.ウィリアムズ演じるセイヤー医師が自己の信念によりロバート.デ.ニーロ扮するレナードを始めとして眠っていた患者達を目覚めさせる場面は涙なしでは見ることが出来なかった。それとセイヤーが度々力説していた現代人に欠けている部分の仕事、楽しみ、友達、家族に感謝することを忘れているという言葉が心に焼き付いている。この言動は1997年の現在にもっとも相応しいかも知れない。現在は生きることのすばらしさが快楽という行動の中に埋没してしまっているのだ。「何が正しくて、何が間違っているのか?」を問わなければならないのは決してセイヤー医師ではなくて、快楽に心を奪われている現代日本人である。
  • @タバタクの採点 4.89/5

    543.最も危険な遊戯 MOTTOMO KIKENNA YUUGI

  • 松田優作、田坂圭子、草野大悟、内田朝雄、見明凡太朗、名和宏、片桐竜次、大前均、団巌、阿藤海、原田力、榎木兵衛、苅谷俊介、石橋蓮司、柴田恭平、山西道広、岡本麗、荒木一郎、仙元誠三(P)、永原秀一(W)、崔洋一(助)、村川透(D)/1978/89′/97.3.4
  • 遊戯シリーズの第一弾(このページではシリーズ3本目)。前出の2本でも分かるように出演者が殆ど一緒である。もちろん監督も同じである。このシリーズはこのスタッフ達が前提に作られている。物語は松田優作演じるシリーズの主人公腕利きの殺し屋・鳴海昌平は賭け麻雀で負け、散々な一日を過ごしていた。そこに巨大組織の殺しの依頼が舞い込む。依頼内容は誘拐された東日電機社長南条を救い出せというものであった。依頼主はその娘婿の父である会長の小日向である。この事件の裏には巨大な国家プロジェクトが絡んでいた。また、競合する五大コンツェルンの後ろには政界の黒幕足立精四郎がいた。鳴海は手始めに足立の懐刀の井合を狙い、その殺害には成功するが同時に南条を射殺されてしまう。鳴海は井合の愛人の京子を匿い、事件の真相に疑問を抱きながらも小日向の次の仕事を請け負う。それは足立の暗殺であった。しかし、足立の背後を調べる内に鳴海は城南署の桂木警部に捕まってしまう。どうもこの事件には警察も関係しているらしかった。その一方、京子は鳴海に好意を抱き優しくするがそれを振り切り、彼は足立の暗殺に向かう。そこで鳴海が見た真実とは...。最初の麻雀の場面にちょい役で出てくる柴田恭平の姿が時代の流れを感じさせる。そして、期待のニュースターとクレジットされていた田坂圭子はどこへ行ってしまったのだろう?この女優は現代の雰囲気ではなく、紛れもなく昔のロマンポルノ風女性である。松田の存在感は毎回論じることだが脇役の素晴らしさも私は言いたい。主人公と脇役が旨いやり取りをしてこそ映画は成り立つのである。このシリーズは何度も申している通り私の青春だがこの作品に関してはその後の脚本を担当した丸山昇一のものと比べると松田優作に対する思い入れが少ないような気がする。その上、仙元誠三の映像美もまだ練られていない。最初の作品としてはそれなりに出来上がっているが未だ迷いが感じられる。
  • @タバタクの採点 3.5/5

    544.野獣死すべし YAJYU SHISUBESHI

  • 松田優作、小林麻美、根岸季衣、風間杜夫、岩城滉一、林ゆたか、阿藤海、山西道広、トビー門口、江角英、安岡力也、岡本麗、清水宏、泉谷しげる、前野曜子、草薙幸二郎、青木義朗、佐藤慶、室田日出男、鹿賀丈史、大薮春彦(原)、仙元誠三(P)、丸山昇一(W)、村川透(D)/1980/115′/97.3.5
  • 1970年代から80年代一世風靡した角川映画の中の一本。高学歴でクラシックをこよなく愛する男.伊達邦彦。彼の人生は通信社で外国の悲惨な戦場の写真を撮ることによって変わってしまった。それは外面だけではなく、内面をも大きく変えた。死人に近い表情の伊達は既に現実の世界に存在していない様であった。彼の頭の中に渦巻くものは常に戦場の映像であり、それが彼を全て支配していた。伊達は目的のためには手段を選ばなかった。銀行を襲撃するために他人を陥れてまでその情報を手に入れたり、仲間にする男.真田に女がいれば彼女を標的にし、射撃の訓練をさせた。銀行強盗遂行の時は12人を殺した上で伊達に好意を寄せる社長秘書.花田を無表情のまま撃ち殺してしまった。それは彼につきまとう刑事.柏木に対しても同じであった。伊達にとっての現実は戦場の映像だけであり、それ以外の世界は彼の欲望を満たすために存在したのである。そして、欲望を満たした後、伊達はこの世に戻るのだが...。この映画には興味深いシーンが2つある。一つは鹿賀演じる真田に対する言葉で「あの女は確実に死んだ。やがて土になるだけだ。素晴らしいことじゃないか。」と宣う場面、そしてもう一つは東北に向かう列車の中でロシアンルーレットをしながら室田演じる柏木刑事に「リップバーン.ウィンクル」の話をする場面である。特にリップバーンの方は17年経った今でも記憶に鮮明であった。伊達の役作りのために優作は一人山に篭り、しかも体重を10kg落とし、更に奥歯を4本抜いて撮影現場に現れたという逸話が遺されている。このフィルム全体に漂うただならぬ殺気や狂気は優作の役作りの執念によって得られたものだと言っても過言ではない。ファンとしてではなく、単なる映画好きとしても背筋が寒くなる緊張が最後の最後まで持続していた。これは余談だが角川映画のテーマ曲が当時の造られた映画ブームを思い出して懐かしかった。それとラム.クァントローにレモンジュースを少々混ぜると「XYZ」というカクテルが出来るという事を認識したのも収穫である。この映画は役者の体をなしていない者達が蔓延る現在日本映画にだんだん興味を無くしている人々には是非見て欲しい一本である。
  • @タバタクの採点 4.97/5

    545.駅 STATION

  • 高倉健、いしだあゆみ、倍賞千恵子、根津甚八、烏丸せつこ、大滝秀冶、古手川祐子、田中邦衛、室田日出男、宇崎竜童、永島敏行、池辺良、小林稔侍、平田昭彦、竜雷太、佐藤慶、北村谷栄、倉本聡(W)、降旗康男(D)/1981/120′/97.3.6
  • 北海道が舞台の映画。私は基本的に高倉健を日本を代表する俳優と認めている。最近の日本の若手トレンディ俳優は認めたくも無いが本物の俳優はやはり本物なのである。物語は1967年北海道警察に勤務する三上英次が小樽の銭函駅にて家族より射撃を選びメキシコオリンピックに出るということを前提として、妻.直子そして息子と別れるところから始まる。その直後、三上は同じオリンピック代表で先輩あえばをある殺人者の餌食にされてしまう。彼は精神的に揺れ動きながらも射撃に人生を賭ける。そして9年後の1976年6月妹の結婚式と同時にある事件で増毛にて食堂に勤めるすず子という女と出会う。この女の兄貴は殺人者として指名手配を受けていた。彼女は三上以下刑事達を騙していたが上砂川にて地元の暴走族の協力によりすず子の兄を捕まえることに成功する。それから3年経った同じ増毛で三上は居酒屋にて桐子という女将と出会う。彼らはやがて深い仲に陥る。二人は互いの過去について語り合う。しかし、三上は彼女に刑事であることを伏せる。その後、彼は桐子と関係のある男があえばを殺した犯人だと分かり、彼女の目の前でその男を射殺してしまう。三上はこの事件をきっかけに警察官をやめる決意をする。そして増毛駅にて札幌に向かう列車を待っていたのは三上ともう一人の女だった...。高倉健演じる三上が冒頭の場面で妻.直子演じるいしだあゆみと別れる場面は何回見ても涙を誘ってしまう。特にいしだの敬礼の意味は夫と別れる寂しさの全てを表している。それにしても高倉健はどうしてこれだけ北海道という土地が似合ってしまうのだろう。彼の人生そのものが寒さの中に寂しさと悲しみを背負っているような気さえしてしまう。また、途中で出てくる銀行は私の現在勤めている会社の向かいにある風景なのである。それは余談としてこの作品は北海道産の親近感と共に女の人生の儚さと男の人生における悲哀を感じさせる映画であった。
  • @タバタクの採点 4.5/5

    546.天使が降りたホームタウン HOMER AND EDDIE

  • ジェームス.ベルーシ、ウーピー.ゴールドバーグ、アンドレイ.コンチャロフスキー(D)/1989/100′/97.3.8
  • アリゾナから癌の父を見舞うためにオレゴンに向かったホーマー.ランザはヒッチハイクの最中に赤い車の二人組に持ち金を盗られてしまう。一文無しになってしまったホーマーは空腹に耐えかね万引きまで働いてしまう。途方に暮れる彼は廃車置き場の車の中でエドウィナ.セルビーという黒人女性を出会う。彼女は盗まれた87ドルを取り戻す?という目的でホーマーと共にオレゴンを目指す。しかし、ネバダ-オークランドと車を進める途中で無一文の彼らは犯罪に手を染めてしまう。特にエディーはその短気な性格から殺人まで犯してしまう。だが、実は二人とも重大な病を抱えていたのだった。そして紆余曲折の末、オレゴン州にたどり着く二人を待っていたものは...。これはホーマー演じるジェームス.ベルーシとウーピー扮するエディー二人の映画である。だから、この日本語タイトルは余りにも抽象的すぎて合わない。ずばり原題の「ホーマー&エディー」が一番ピッタリとくる。二人のセリフのやり取りで印象に残ったのがホーマーがエディーに「神を信じるか」と問いかけた時に「神は見えないから信じない」と応えた。この言葉はその後オークランドで会うエディーの母親の姿と言動からよく納得出来る。それとオレゴンでのホーマーの述懐には心を打たれた。それにしてもエディーの前に現れたキリストは一体何を意味していたのか。
  • @タバタクの採点 4/5

    547.キスショット KISS SHOT

  • ウーピー.ゴールドバーグ、ドリアン.ヘイルウッド、デニス.フランツ、ターシャ.スコット、ディヴィッド.マルシアーノ、テディ.ウィルソン、ジェリー.ロンドン(D)/1989/93′/97.3.9
  • キスショット-ビリヤードの9ボールで順番に関わらず他の玉で9番のボールをポケットすることを言う。資格を取得し、やっと就職出来た職場を1年足らずでサラ.コリンズは去らなければならなかった。残されたのは娘ジェニーと家のローンを含めた多額の借金であった。両親の所に金の工面に行ったが父親には冷たくあしらわれる。その後、前のレストランに戻ったが借金で途方に暮れるサラは娘の一言で昔とった杵柄ビリヤードで稼ごうと考える。昔馴染みの店でマックスという男と知り合い、この男と組んで賭けビリヤードの世界に入り込んでゆく。当初は連戦連勝で進んだ二人だったがケビンという黒人プレーヤーと出会うとサラは女の部分を蘇らせてしまった。恋によって勝負に勝てなくなり、マックスとの仲も次第に悪くなってゆく。それにも関わらずサラはケビンにのめり込んでゆくがジェニーは彼のことを嫌う。そして、母と娘にも溝が深くなりつつあった。宿敵リックとの大きな勝負にも負け、サラは借金を返す目途が立たなくなる。その直後、ケビンにも裏切られる。傷心のまま彼女はケビンとリックも出場する大会で優勝賞金10000ドルを狙う...。それなりに楽しむことは出来たがウーピーはこういう勝負師の世界には合わないかも知れない。彼女の芸達者なところは私以外に万人が認めるところであるがやはり向かない役柄というのは存在する。それとケビンを演じていたドリアン.ヘイルウッドの締まりのない顔は確かに金持ちの御曹司という役はぴったりだったかも知れないが画面を引き締めるという意味では全くの大根役者であった。それ以上にもう一つ賭けビリヤードの緊張感が伝わってこなかったのは残念であった。
  • @タバタクの採点 2.66/5

    548.ヨコハマBJブルース YOKOHAMA BJ BLUES

  • 松田優作、辺見マリ、蟹江敬三、内田裕也、財津一郎、范文雀、宇崎竜童、山西道広、岡本麗、殿山泰治、安岡力也、重松収、仙元誠三(P)、丸山昇一(W)、工藤栄一(D)/1981/112′/97.3.14
  • NYサウスブロンクス帰りの探偵BJはある母親から行方不明になっている息子.明の調査を依頼される。だが、美少年.明は既に浜を仕切っていたファミリーのボスのオナペットになっていた。その調査を打ち切られた時、BJはNY時代からの親友で刑事ムクの呼び出しを受ける。ムクはDJにファミリーの事を暴露した上で辞職することを告げる。その直後、彼は何者かによって殺害される。その場にいた同僚の刑事.紅屋はBJを締め上げる。BJはムクが殺された拳銃が357マグナムであることを紅屋から聞き、殺害したのはファミリーだと中りをつけた。それともう一つ、ファミリーが香港組織と8700万の麻薬取引することを聞く。それから事件に一人の女が絡んでいることを掴む。その女は現在ムクの妻でBJの昔の恋人.民子であった。BJは民子を尾行し、ファミリーのアリという男と会った事実を押さえる。しかし、民子は実は脅迫されていた。ファミリーを洗うBJだったがその行動はファミリーのボスの逆鱗に触れ、殺されかかるが寸でのところで逃げ出す。BJは麻薬取引の現場を押さえるために車のトランクに身を潜め、現場の状況を見つめる。しかし、そこには何故かあの刑事が存在していた...。醜くなりたくないという明との会話が印象に残る。ゴッドファーザーのアル.パチーノになりたかったという明の気持ちをBJはその裏にある悲しさをも心で理解していたのだろう。そして、殺された明の体を綺麗にするBJの胸に去来したものは何だったのだろうか。また、BJと民子のセリフのやり取りで顔がアップにならずに言葉を交わし合う二人に浜の風景がピッタリとはまっていた。けれど、全体的にはマニアックな映画と言えるだろう。バックに流れる優作が歌うブルースはファンには堪えられないものであった。もし、一度彼の唄を聴いてみたい人々には"YUSAKU MATSUDA【1978-1987】"(ビクター)というCDを推奨したい。
  • @タバタクの採点 2.5/5

    549.蘇える金狼 YOMIGAERU KINROU

  • 松田優作、風吹ジュン、成田三樹夫、小池朝雄、草薙幸二郎、岸田森、佐藤慶、結城しのぶ、真行寺君江、岩城滉一、阿藤海、山西道広、榎木兵衛、中島ゆたか、角川春樹、南原宏治、久米明、今井健二、安部徹、千葉真一、大薮春彦(原)、仙元誠三(P)、永原秀一(W)、村川透(D)/1979/131′/97.3.16
  • 角川映画。3億円事件を真似て白バイ警官を装った男が共立銀行警備員を殺し、1億円の強奪に成功する。その現場の近くに東和油脂という会社があり、そこの経理部に浅倉という真面目そうな男がいた。一見、この二つは全く結びつかないようであったが実は強奪事件の犯人がこの浅倉という男だった。警察の発表した犯人像は「銃に詳しい者」「格闘技に通じている者」という事である。気弱そうに変装していた浅倉は実際は会社に内緒でボクシングをやっていてその実力はプロ級であった。しかも同時に詳細な銃の知識も持ち合わせていた。裏の実像は警察の発表した犯人像とピッタリだったのである。しかし、一つだけ浅倉の誤算があった。実は盗んだ紙幣の番号が全て控えられていたのだ。その事実を知り、彼はこれを実際に使うためにヘロインの密売をしていた市会議員.磯川に近づく。様々な危険を犯しながらも磯川との取引を成功させる。その一方、浅倉は自社の不正経理によって公金横領をしていた上司達の事実を掴む。彼は経理部長の女.京子に近づき、薬で自分の女にすることにより小泉部長の情報を得ようとする。また、直属の上司.金子次長が自分の女の事と会社の経理の事実を掴んだ桜井と名乗る男に強請られる。社長以下事件に絡む人間達は興信所の石井に頼んでこれらをもみ消そうとするが桜井の逆襲を受け、ますます事件の収拾が困難になる。この経過を京子から知り得た浅倉は今度は自分から売り込むことにより、呼び出しを受けた社長からの殺人の申し入れを重役にしてやるという条件と共に引き受ける。殺人の依頼は成功させた浅倉だったが上司達の実際の考えは彼の思い通りにはならなかった。そして、葉山の別荘に乗り込み自己の欲望全てを手に入れたはずの浅倉に残されていたものとは...。磯川グループとある小島でヘロインの取引をするために彼の部下の者達を磯川と会う前に全て殺してしまったシーンが印象に残る。あれは同年に撮影された遊戯シリーズの鳴海章平を彷彿させる。また、風吹ジュンとの絡みはハードになり過ぎる画面を和らげる役割を果たしていた。それにしても最初に出てきたボクシングジムの社長役.角川春樹は大根役者過ぎる。彼は職権を乱用して自社の他映画にも出ているが出たがりとしか言いようがない。だが、全体としてはよく大薮春彦のハードボイルドの世界を表現出来ていたと思う。
  • @タバタクの採点 3.96/5

    550.ケープ.フィアー CAPE FEAR

  • ロバート.デ.ニーロ、ニック.ノルティ、ジェシカ.ラング、ジュリエット.ルイス、ロバート.ミッチャム、グレゴリー.ペック、マーティン.スコセッシ(D)/1991/128′/97.3.17
  • ダニエル.ボーデンが一家の「ケープ.フィアー」における忘れがたい思い出を語るところから物語は始まる。14年の刑期を終え、マックス.ケイディは刑務所を出所した。刑に服す前は字も読めなかったケイディだったが刑務所の生活が全て彼を変えてしまった。彼の体にはそれを示すイレズミが彫られ、彼の心の中には聖書の「ヨブ記」が宿っていた。それというのもケイディは14年もの間、ある男への復讐に燃えていたのだ。その男とは14年前の婦女暴行事件(1977年アトランタ)で彼の弁護士となったサム.ボーデンであった。彼はケイディの裁判である事実を隠しながら十分な弁護もせずに罪に追いやったのだ。ケイディはこの事により家族や信用をすべて失う。そしてその真実を知ったケイディはサムに会うために南部のニュー.エセックスという街に向かう。この街でサムに出会ったケイディは隠微な復讐を思わせる「失ったものは取り返す」という不気味な言葉を残す。彼の復讐はボーデン家の愛犬から始まった。それからサムの不倫相手ローリー、妻リー、娘ダニーと段々エスカレートしてゆく。サムは友人のカーゼック刑事に頼み、いろいろな施策をケイディに試みるが悉く失敗に終わる。しかも不倫が妻にばれてしまう。又、行き過ぎた行動から自分自身も裁かれ、弁護士の資格も剥奪されそうになる。切羽詰まったサムはケイディを殺そうと企むがケイディの執念が一家を「ケープ.フィアー」(恐怖岬)に追い詰める...。ロバート.デ.ニーロ演じるマックス.ケイディの執念には背筋がゾッとした。これほどまでに刑務所で知識を身につけた男が心にある蟠りを吐き出すものが出来ないものか。最後までその執念はサムを苦しめた。また、ニック.ノルティ扮するサム.ボーデン弁護士も次第にケイティに引き込まれて行き必死で家族を守る姿勢の変化を旨く演じていた。ジュリエット.ルイス演じるダニエルは現在の彼女の抜けたような演技とは異なり、デ.ニーロによって良い部分(狂気)が引き出されていた。それから往年の映画ファンには懐かしいロバート.ミッチャムとグレゴリー.ペックの元気な姿。全体としてはマーティン.スコセッシとデ.ニーロのコンビが緊張感の中で執念を持つ狂気を描き切れたと思う。
  • @タバタクの採点 4.27/5




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