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アレなんだよなぁ〜!?

111. ジーパンシンコ その愛と死

【出演者】石原裕次郎、松田優作、(関根恵子)、露口茂、竜雷太、小野寺昭、下川辰平、青木英美、菅井きん、ハナ肇、手塚しげお、皆川妙子、石井宏明、鳥井忍、辻義一、鹿島信哉、苅谷俊介、浅野謙次郎、森正親、西山健司【監督】山本迪夫【脚本】小川英【音楽】大野克夫(音楽)、井上尭之バンド(演奏)【原作】魔久平

【あらすじ&ジーパン心の叫び】

 スクランブル交差点。ジーパンとゴリはチンピラを追い掛ける。チンピラは拳銃を所持していた。彼らは偶々、ここを通りかかった。操車場にチンピラを追い詰めるジーパン。拳銃を構え怯えるチンピラ。

 「撃てよ、撃って見ろよ」「バカかお前は。拳銃なんか振り回しやがって」ジーパンは軽く殴り、捕まえることに成功。そこへやって来た二人の警官にチンピラを引き渡す。チンピラは会田ミノル(手塚しげお)という名前だった。

 パトカーに乗せられる前、彼は一台の黒塗りの車が通り過ぎるのを見逃さなかった。これが事件の発端となる。

 そんな事とはつゆ知らず、ジーパンはシンコを連れて、強引に宝石店を訪ねる。彼女が戸惑う中で婚約指輪を購入しようとしたジーパンだったがシンコの誕生石ダイヤモンドが2万円じゃなく、200万円だと分かるとばつが悪そうにそそくさとその場を去った。

 「俺は本気なんだよ」と署の屋上で告白するジーパン。「ずっと待っていた」と頬を赤らめるシンコ。しかし、彼女の心配は父親・宗吉の気持ちだった。果たして、飯屋「宗吉」では・・・。二人は彼の猛反対に遭っていた。

 それでもシンコを深く愛するジーパンは一歩も下がらずに「ヤダネ。俺は帰んないよ。親父さんがうんって言ってくれるまではね。絶対、俺はここを離れないからね俺は」雰囲気はボスの電話で途切れる。

 ジーパンが引き渡した拳銃不法所持男・会田が警官二人を射殺して、逃走したのだった。先ず、ジーパンは会田が勤めていた「SANDORIA」というレストランを訪ねる。そこで彼がトモちゃん(皆川妙子)という店員とつき合っていた事を突き止める。二人は結婚の約束までしていたというのだ。

 ジーパンは直後、彼女に会うが会田を捨てて、簡単に条件が良い男と結婚してしまった女に強い憤りを感じる。その頃、署では会田を捕まえた時のジーパンの過剰な暴力が問題視されていた。彼はそれを否定し、ボスはジーパンを信じた。ジーパンは女との事で会田に少し同情心が湧いていた。

 「ヤツは女に裏切られて、ヤケ起こしてるんですよ。拳銃なんか持ってウロウロしたのはそのせいじゃないですか」「これが酷い女でしてね。あんな可愛い顔して、笑いながら裏切られたら俺だって何するか分からないですよ」

 翌朝、彼は母たきに起こされる。シンコと結婚することを冗談混じりでたきに報告する息子。嬉しさの余り、仏壇の前でやっと肩の荷を降ろせる事を報告する母。

 七曲署では既に二人の話題で持ち切りだった。それを壊したのは宗吉の電話。だが、その朝、娘シンコは辞表を出し、愛するジーパンに付いて行こうと決めていた。

 事件は会田の陰に竜神会の前岡というチンピラが絡んでいることが明らかになる。彼は事件前から会田との付き合いがあった。直ぐにジーパンはゴリと車で捜査に出掛ける。車中、ジーパンはゴリに殴った時に震えていた会田が警官殺しなど出来ないと告げる。

 「だから、それを証明したいんです。俺、会田ってヤツが段々分かって来たような気がするんですよ。だから、何とかしてあいつを立ち直らせてやりたい・・・何かおかしいですね。俺がこんな事を言うのは」

 ゴリはしみじみと話すジーパンの人間的な成長を強く感じた。

 そのジーパンのために飯屋「宗吉」ではチョウさんとデンカが懸命に親父の説得当たっていたが一向に埒があかなかった。

 一方、会田は前岡と更に罪を重ねていた。「光ストア」を襲い、店長を殴り、金を強奪する。彼らは通報された事をまだ知らなかった。ジーパンは通用口から逃げる会田を発見するが拳銃を撃つことが出来ずに車での逃走を許す。ヤマさんに叱咤されるジーパン。

 「ヤマさん、犯・・・犯人を人間として見るって事は臆病になるって事ですか」

 竜神会の張り込みをするジーパン。そこへシンコ。「これでいいのかもしんないよなぁ。・・・俺さぁ、会田の事が気になったり、いざって時に撃てなかったりしたのはたぶんシンコと結婚する気になったせいかもしんないな」「結婚してさぁ、子供が出来て、ホシの気持ちばっかし考えてさ、だんだんだんだん臆病になってよ、そんで歳を取って、年金貰って、満足してよ、俺もそういう風になっていくんだろうな、そんでもそれでいいのかもしんないよなシンコ」彼女はヤマさん同様、「刑事」と「人間」の狭間で苦悩する彼を人間的には間違っていないが今は違うと諭す。

 その頃、宗吉の説得に最後の砦であるボスがあたっていた。彼は「生まれ変わろうとしているジーパンを父親の立場から見守ってくれ」と懇願する。「昔の自分に出来なかった事を・・・」と大きく成長しようとするジーパンという息子を受け入れようと決意する宗吉。

 他方、前岡は38口径の拳銃で射殺される。38口径は会田の所持する拳銃と同一。そんな折りに遂に会田から名指しでジーパンに電話は入る。内容は彼が一人で来てくれたら自首するというものだった。

 会田は竜神会の追っ手から懸命に逃げていた。逆探で彼が矢追町にいる事が判明。気持ちが通じたと感じたジーパンは直ぐに彼の元に向かう。会田、竜神会、ジーパン。竹芝の廃工場での銃撃戦。腕を負傷しながらも勝利したジーパンは会田に救いの手を差し伸べようとするのだが...。

『会田、助かったぞ』
『もう大丈夫だよ』
『拳銃渡せ』
『どうしたんだよ。会田、どうしたんだよ』
『会田、ちょっと待ってくれよ。会田、どうしたんだよ』
『なんじゃ〜こりゃ〜!』
『俺は死にたくないよ〜』
『待ってくれよ・・・おら・おら。おりゃ、死にたくないよ〜』
『会田、ちょっと待ってくれよ』
『なっ、どうして逃げちゃうんだよ』
『待ってくれよ・・・会田』
『おりゃ、死にたくないよ〜・・・死にたくないよ』
『何で死ぬんだよ・・・俺はよ〜・・・』

*企画/魔久平
*企画協力/ジャック プロダクション
*プロデューサー/岡田晋吉、山口剛(日本テレビ)、梅浦洋一(東宝)
*制作/東宝(株)




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