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69. 初恋への殺意
【出演者】石原裕次郎、松田優作、(関根恵子)、露口茂、竜雷太、小野寺昭、下川辰平、(青木英美)、稲垣光穂子、沢まき子、目黒幸子、山田禅二、亀井和子、加藤茂雄、家弓家正、石井麗子、松宮五郎【監督】児玉進【脚本】鎌田敏夫【音楽】大野克夫(音楽)、井上尭之バンド(演奏)【原作】魔久平
【あらすじ&ジーパン心の叫び】
無理矢理、映写機の前に座らされる少女。その後ろには中年の男女。泥酔&薬中状態で強制的に目を拡げられた少女はその二人にある画像を強制的に見させられていた。その場面は母の死ということで現実のものになった。
浴衣地の寝間着で殺された妻の夫すなわち少女の父親はその時、行方不明になっていた。ヤマさん、ゴリ、ジーパンの3人はこの娘に証言を求めたところ、「父が母を殺す場面を目撃した」との衝撃的な事実が告げられた。
最近、彼女は父と母が啀み合う家が面白くなく、ぐれていた。証言後、その家から叔母と一緒に去る少女が乗るタクシーを納得出来ない表情で見送るヤマさん。直ぐに床下から凶器である包丁は発見された。
殺されたのは清水美保、娘はキョウコ(沢まき子)、失踪中の夫はタカオという家族であった。タカオは直ぐに全国指名手配された。そこへ「美保の愛人」と名乗る男が出頭してきた。男の名前は福富一郎(山田禅二)といい、名刺には福富ビル(株)代表取締役とあった。
ボスとヤマさんが彼から事情を聞くと美保が保険の外交をやっていた3〜4年前からの不倫関係だという。そして、その関係が最近、夫タカオに知られたとの事だった。その為に金も援助していたと証言する。この直後に新潟のヨリイ海岸でタカオの溺死体が上がったという連絡が入る。
チョウさんが新潟に飛んだが捜査の結果は足の裏の凍傷は少し気になったが「自殺」ではないかとの事だった。しかし、ヤマさんはこの結果に納得出来ずにチョウさんに詫びを入れてまで新潟への出張をボスに嘆願する。ヤマさんは新潟からの帰りの電車でキョウコに出会う。
何故これ以上、事件を調べるのか訝しげに見るキョウコに対し、ヤマさんは福富の名を出した。そして自分は納得するまで捜査をしたいと告げる。彼女は断固としてその男から母はお金を貰っていないと否定した。
署に戻るとヤマさんはボスにキョウコを信じてやりたいと話す。その理由は20数年前に自殺してしまった本当は自分は好きだった同級生に端を発していた。ボスはヤマさんの心情を汲んで捜査の続行を許す。ヤマさんは福富の再調査から始めた。
待ち伏せる山村に怪訝そうな表情を見せる福富。彼からヤマさんは美保とは都内のマンションで会っていた事を聞き出す。そして、11月1日のアリバイについては森岡慎一郎(松宮五郎)という産業商次官の自宅にいたという。
この森岡という男は今度の選挙の目玉で将来は総理まで狙えるとされていた。森岡のお手伝いからは裏を取ることが出来た。その夜、慎一郎は妻エツコ(稲垣光穂子)との会話の中で「美保を殺したのはお前では?」という疑惑をぶつけたがエツコにうまくはぐらかされてしまう。
彼女の願いは只、自分の出世だという言葉で。そして彼女から11月1日の福富のアリバイについて20:00から2:00までは家にいたと証言してくれとの念押しを受ける。その一方でヤマさんは清水家が住んでいたアパートの取り壊しに立ち合う。
そこで偶然にも「浜野美保」と記されたラブレターが発見される。浜野美保というのは実は清水美保の旧姓であった。その宛名が何と「森岡慎一郎」だったのだ。彼女にとって森岡は高校時代の初恋の相手であった。
その事実から突然、ゴルフ場を訪れたヤマさんとジーパンに対して、慎一郎は昔のことだと白を切り、エツコは二人に罵詈雑言を浴びせる。埒があかないと判断したヤマさんはもう一つの手掛かりであるキョウコと現場検証を始める。
そこへチョウさんから貴重な情報が入る。福富は製氷会社も経営しているので保冷車を使って死亡時間を誤魔化すことは可能だということだ。それで凍傷のあった訳も説明出来ると。そこへジーパンの足取り調査から十日町のガソリンスタンドで保冷車が目撃され、運転手の人相着衣が福富と一致したとの報告。
それからボスの一言「キョウコは夢を見ていたのかもしれない」でヤマさんは再び彼女に接する。その時、ヤマさんはキョウコの「父が母を殺そうとした時に消防車のサイレンの音を聞いた」という証言を得た。
しかし、当日彼女のアパート付近では消防車の出動はなかった。出動があったのは福富が都内に借りていたマンションの近くであった。ヤマさんは福富を彼の会社の製氷倉庫に誘き寄せ、最後の賭けに出る・・・。
BGM・夏木マリ「絹の靴下」
ジーパン心の叫び 「叔母さんに引き取られてもどうやって生きて行くんでしょうかねこれから。辛いでしょうねぇ。父親が母親を殺すなんて。子供にとってこれ以上ショックな事はありませんからね」