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アレなんだよなぁ〜!?

93. 真実の詩

【出演者】石原裕次郎、松田優作、(関根恵子)、露口茂、竜雷太、小野寺昭、下川辰平、青木英美、山本紀彦、剛達人、吉岡ゆり、福山象三、内藤栄造、朝倉隆、亀井三郎、直木みつ男【監督】児玉進【脚本】柏倉敏之【音楽】大野克夫(音楽)、井上尭之バンド(演奏)【原作】魔久平

【あらすじ&ジーパン心の叫び】

 走行する車。ヤマさんは殺人事件の現場に急いでいた。現場「スナック・エクセル」で高木シローというバーテンが殺害された。凶器は花瓶。レジスター他、室内はかなり物色された跡があった。目撃者は前川ノブオという店のボーイで14:00に現場を見て、通報したという。

 推定死亡時刻は13:00頃だった。花瓶に付いていた指紋から新井耕一(山本紀彦)という男の名前が浮かび上がった。彼は2年前に勤めていた町工場の事務所から30万円を盗み、窃盗の前科があった。

 重要参考人として引っぱろうと仕事先の建築現場で新井に問い質そうとすると彼は急に逃げ出す。だが、間もなく、ゴリとジーパンが新井を押さえる。ヤマさんの取り調べに対して、新井はあっさり「金が欲しかったから殺した」とゲロする。

 ああいう店は昼間、人がいない、鍵は針金で開けた、レジスターと引き出しの中から現金10万円を盗んだと次々に吐く。奥の方からガイシャが出て来たので咄嗟に前から花瓶で頭を殴った証言する。

 だが、ガイシャは「右後頭部に傷があった」とヤマさんから言われると「後ろから殴った」と前言を直ぐに翻した。ヤマさんにそれでは「殺意有りだな」と指摘されても新井は最後まで殺害したことを譲らなかった。事件は直ぐに解決するかに思われた。

 しかし、ヤマさんは「あんな律儀な男が喋り過ぎるのはおかしい」と疑問を呈した。彼はボスに頼んで送検期限のギリギリまで「粘ってみたい」と頼んだ。新井の寮を訪ねるといつも本ばかり読む朴念仁で酒も煙草も女もやらないということだった。

 両親は既に存在せず、治(剛達人)という弟が一人いるらしかった。一方、その治は3人の男達と喧嘩をしていた。原因は治が彼らの店からホステスを引き抜いたということだった。ヤマさんが助け船を出す。

 「ナカタニ」という喫茶店で兄との関係を尋ねるが治は「もう縁を切った」と席を立つ。耕一、2回目の取り調べ。留置場の飯にも手をつけていないのに彼は元気だと言い張る。耕一は故郷である北海道の夕張で炭坑夫をやっていた。そして、5年前に東京に出て来る。

 彼もまた「弟の事は知らない」と質問を拒絶した。ヤマさんは彼が「何かを隠している」と問い質したが彼は泣き出す始末。ボスはヤマさんに「心証だけではダメだ」と忠告する。直後、ジーパンは新井の部屋から発見されたジャンパーの血痕が被害者の血液型と一致したと報告する。

 「思い過ごしだったか」とそれでも納得出来ないヤマさん。結局、耕一は城南裁判所で懲役9年を言い渡される。だが、控訴もしないで服役した耕一が脱獄したという情報が入る。彼は直ぐに捕まる。ヤマさんは急遽、面会に走る。

 所長の話だと一週間前に傷害で入所してきた者が弟の話をした途端、耕一は酷く興奮してそれから様子がおかしくなったという。ヤマさんは耕一と面会する。弟の話をするとやはり酷く興奮して、唾を吐き掛けた。そして「自分にもう構わないでくれ」と。

 この状況からヤマさんはボスに「北海道に行かせてくれ」と懇願するが「刑が確定して俺達の仕事は終わった」と言うボス。だが「休暇扱いでも」というヤマさんの心情を汲んでボスは「寒いからコートを持っていった方がいいぞ」と言葉を掛ける。

 既に廃屋になった炭住を訪ねるヤマさん。当時のことを知る人間から兄弟の仲は良く、耕一は治の面倒をよく見ていたという証言を得る。兄が弟のために作ったという机から治の数学のノートを発見するヤマさん。その後、耕一は山が廃坑になったため、仕事を探して東京に行ったという。

 それも女と一緒に。置き去りにされた当時、中学生だった治は兄の行為を深く恨んでいた事は想像に難くない。治も「兄貴には絶対に会わない」と東京に向かったのはそれから間もなくしてだった。ヤマさんは兄弟の日々を回想しながら東京へ戻る。

 耕一と東京に出て来た女が見つかる。田所(吉岡ゆり)という名の彼女は既に他の男性と結婚していた。「耕一が殺人事件を起こした」と聞くと驚愕する。彼は仕事が見つからずに彼女の前から去った。そして、「最近、一度だけ会った」という。それは3月末、事件の直前であった。

 その時、耕一に「50万円貸してくれ」と言われたが10万円しか貸せなかったという。彼は上京してからも弟を夕張に残して来た事に良心の呵責があったのだ。治のために今回の罪を被った耕一。

 そして、それを裏付けたのが治と「ムーンライト」というキャバレーで働いていた中川という男だった。実はそこには被害者の高木シローも勤めていたのだった...。

 ジーパン心の叫び 「何れにしてもなんとなく真実が見え始めたって感じですかね・・・ヤマさん」



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