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16. 野獣死すべし YAJYU SHISUBESHI
【出演者】松田優作、小林麻美、根岸季衣、風間杜夫、岩城滉一、林ゆたか、阿藤海、山西道広、トビー門口、江角英、安岡力也、岡本麗、五月まりや、明日香和泉、船場牡丹、吉岡ひとみ、清水宏、友金敏雄、草薙良一、鶴岡修、清水国雄、加藤大樹、関川慎二、相馬剛三、畑中猛重、吉宮慎一、谷本一、永田伸介、雪江由紀、平野真理、古川みよ子、石田久美子、松香ふたみ、浜口竜哉、二家本辰巳、小見山玉樹、伊豆見英輔、島村謙次、泉谷しげる、前野曜子、草薙幸二郎、青木義朗、佐藤慶、室田日出男、鹿賀丈史【監督】村川透【脚本】丸山昇一、大藪春彦(原作)【音楽】たかしまあきひこ、前野曜子(歌)【撮影】仙元誠三【製作】角川春樹【製作会社】角川春樹事務所=東映【製作年】1980【上映時間】119′【封切日】1980.10.4
【あらすじ&感想】
1970年代から80年代一世風靡した角川映画の中の一本。
高学歴でクラシックをこよなく愛する男.伊達邦彦(松田優作)。彼の人生は通信社で外国の悲惨な戦場の写真を撮ることによって変わってしまった。それは外面だけではなく、内面をも大きく変えた。死人に近い表情の伊達は既に現実の世界に存在していない様であった。
彼の頭の中に渦巻くものは常に戦場の映像であり、それが彼を全て支配していた。伊達は目的のためには手段を選ばなかった。銀行を襲撃するために他人を陥れてまでその情報を手に入れたり、仲間にする男.真田徹夫(鹿賀丈史)に女.原雪絵(根岸季衣)がいれば彼女を標的にし、射撃の訓練をさせた。
銀行強盗遂行の時は12人を殺した上で伊達に好意を寄せる社長秘書.華田令子(小林麻美)を無表情のまま撃ち殺してしまった。それは彼につきまとう刑事.柏木秀行(室田日出男)に対しても同じであった。
伊達にとっての現実は戦場の映像だけであり、それ以外の世界は彼の欲望を満たすために存在したのである。そして、欲望を満たした後、伊達はこの世に戻るのだが...。
この映画には興味深いシーンが2つある。
一つは鹿賀演じる真田に対する言葉で「あの女は確実に死んだ。やがて土になるだけだ。素晴らしいことじゃないか。」と宣う場面、そしてもう一つは東北に向かう列車の中でロシアンルーレットをしながら室田演じる柏木刑事に「リップバーン.ウィンクル」の話をする場面である。
特にリップバーンの方は17年経った今でも記憶に鮮明であった。伊達の役作りのために優作は一人山に篭り、しかも体重を10kg落とし、更に奥歯を4本抜いて撮影現場に現れたという逸話が遺されている。このフィルム全体に漂うただならぬ殺気や狂気は優作の役作りの執念によって得られたものだと言っても過言ではない。
ファンとしてではなく、単なる映画好きとしても背筋が寒くなる緊張が最後の最後まで持続していた。これは余談だが角川映画のテーマ曲が当時の造られた映画ブームを思い出して懐かしかった。
それとラム.クァントローにレモンジュースを少々混ぜると「XYZ」というカクテルが出来るという事を認識したのも収穫である。この映画は役者の体をなしていない者達が蔓延る現在日本映画にだんだん興味を無くしている人々には是非見て欲しい一本である。