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アレなんだよなぁ〜!?

18. 陽炎座 KAGEROU-ZA

【出演者】松田優作、大楠道代、東恵美子、楠田枝里子、佐野浅夫、玉川伊佐男、麿赤児、沖山秀子、大鶴四郎、江の嶋るび、伊藤弘子、江角英、榎木兵衛、紅澤ひかる、徳田昌弘、内藤剛志、加賀まりこ、大友柳太朗、宮澤洋子、佐藤B作、中澤青六、栗田陽子、川平京子、佐々木正代、堀妙子、伊藤奈穂美、高杉哲平、深澤政雄、酒井萬理子、トビー門口、ビビ、鈴木えみ子、笹井智恵子、福田麻知子、原田芳雄、中村嘉葎雄【監督】鈴木清順【脚本】田中陽造、泉鏡花(原作)【企画】伊東謙二【音楽】河内紀【製作】荒戸源次郎【製作会社】シネマプラセット【製作年】1981【上映時間】139′【封切日】1981.8.21

【あらすじ&感想】

 1926年大正時代の東京。病院へ見舞いに行く途中、老婆から女の魂であるという酸漿を買う女。そんな女に男は出会った。

 その男の名は松崎春狐(松田優作)といい、新劇の脚本家であった。その後、松崎は夢か陽炎か、その女の滴の垂れる髪、川を渡る姿を記憶に留めた。遂に彼はその事を玉脇(中村嘉葎雄)という自分を支援してくれる伯爵に告げる。

 その頃、玉脇にはイネ(楠田枝里子)という妻がいた。彼女は現在危篤状態であった。それにも拘わらず松崎は彼女の死後と思われる時間に幻の女を見かけた階段で会ったという。それから彼は玉脇の使用人.みおという女から伯爵には妻が二人いる事実を突き止める。

 一人のイネはドイツ人であり、もう一人は...。

 そんな中で松崎は謎の女から手紙を貰い、「4度目の逢瀬は死」と書かれていたがそれにも構わず、目的地の金沢に向かう。汽車の中で彼は人形を扱う恋心という男と意味深に心中を見物に行くという例の玉脇伯爵に出くわす。

 だが、松崎はたどり着いた金沢で予期せぬ場面に遭遇する。それはイネと幻の陽炎女が夜叉ヶ池を渡し船に乗っていたという光景だった。この信じられない光景の意味が玉脇に再会し、疑問が解ける。この幻の陽炎女は実は彼の後妻で品子(大楠道代)と言った。玉脇によると品子は松崎との心中を望んでいるという。

 玉脇からも勧められるが彼はやっとの事で彼女との心中を免れ、その後、恋心が関係した人形の秘密と子供劇団の芝居から物事の真相を覚ることになるのだが...。

 この作品の原作である泉鏡花の世界を理解するのは非常に困難である。彼が描く表裏一体の世界、不条理な世界などは名監督の鈴木清順や名優の松田優作がかなりの場面までは演ずることが出来ても全部を表現することは到底不可能であろう。

 それでも松崎春狐演じる優作は表情や体位など隠微な世界を具現化することに心を割いていたシーンが随所に見られた。特にイネに扮する楠田枝里子とまぐわうまでの場面は実に秀逸な出来である。優作の手の表現が特に良い。

 そして、この映画を3つのセリフで説明するとすれば、私なりにそれらを挙げると「近づけば近づくほど、遠くなる」「見尽くしてしまったら壊すしかない」「夢が現世を変えた」となるが皆さんはどうだろうか。このフィルムは内容が非常に深いだけに解釈の仕方は十人十色かもしれない。


パンフ画像1 パンフ画像2



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