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アレなんだよなぁ〜!?

19. 家族ゲーム THE FAMILY GAME

【出演者】松田優作、伊丹十三、由紀さおり、宮川一朗太、辻田順一、松金よね子、岡本かおり、戸川純、白川和子、鶴田忍、佐々木志郎、伊藤克信、加藤善博、土井浩一郎、植村拓也、前川麻子、渡辺知美、松野真由子、中森いづみ、佐藤真弓、小川隆宏、劇団東俳、清水健太郎、阿木燿子【監督】森田芳光【脚本】森田芳光、本間洋平(原作)【製作】佐々木志郎、岡田裕、佐々木史朗【製作会社】にっかつ撮影所、ATG、ニュー・センチュリー・プロデューサーズ【製作年】1983【上映時間】106′【封切日】1983.6.4

【あらすじ&感想】

 沼田家の次男.茂之(宮川一朗太)は高校受験を間近に控えていた。だが、勉強は一向に捗らず、親が選んだ家庭教師はそんな彼を諦めて何人も去っていった。そんなところに二流私大の城南大に通う吉本勝(松田優作)が新しい家庭教師としてやってきた。

 大事な時期にも関わらず、母.千賀子(由紀さおり)に嘘をつき、仮病で学校も休もうとする体たらくな茂之。そんな彼に吉本は容赦なく彼流の教育を施そうとする。この裏には父.孝助(伊丹十三)と車での闇取引があったのだが...。

 その頃の茂之は成績がクラスで後ろから9番そして、問題児として担任にも疎んじられていた。その上、親友によるいじめの対象にもなっていた。親の期待の重圧からの解放のために人の事をおちょくり、楽しむ茂之を吉本は暴力をも使って自分に従わせようとする。

 そんな吉本に母は少し心配、その事を父に告げるのだが妻に全てを押し付け責任を回避している彼は自分の希望校に息子が受かることしか眼中になかった。

 その頃、一足先に高校受験に成功した兄.慎一(辻田順一)は高校の勉強に興味を無くし、弟を横目で見ながら自分の人生を模索している最中であった。そして吉本の指導を受け、茂之の成績はどんどん上がって行く。親友とも仲直りし、茂之は受験に邁進していた。

 しかし、彼はなぜか志望校変更を頑なに拒んだ。それを見かねた千賀子が吉本に頼んで茂之を説き伏せ、渋々彼は変更を了承し、兄と同じ西部高校を目指すことになるのだが...。

 この映画は当時松田優作演じる吉本を中心に沼田家族が一直線に横に並んでする食事シーンが話題になった。今、見ても新しい撮り方のような気がする。そこでは同列の横に並ぶのとは別に無言の内に家族に於ける序列がある。父、母、兄、弟、それとお客様。しかし、淡々と食事をする家族はお互いに問題を抱えているのだがお互いの希望に応えようとして本音を言うことを躊躇っている。

 伊丹十三演じる当時の典型的な父.孝助は仕事から遅く帰ってきては息子の勉強の事しか語ろうとしない。由紀さおり扮する母.千賀子がそれ以外の話題を取り上げるとめんどくさそうに君に任せていることだからと言って逃げてしまう。

 又、兄弟の対比として宮川一朗太演じる弟.茂之は自分の事なのにひと事のように受験を感じているが取り合えず父の前ではその振る舞いを控えている。優等生と見られていた兄は青春の岐路に立っていて母にはある程度本音を話していたが弟と同じく父の前ではそれらしく振る舞っていたが最後にはそれも爆発してしまう。

 今でもこれに近いかもしれないが1980年代はこの家族がごく一般的なものであった。この家族に割り込むのが家庭教師.吉本だったが松田優作演じたこのキャラクターはアクションスターから脱皮しようとしていた彼の新しい一面を森田監督と共に切り開いたと思う。

 時々茂之を見る目線の中には優作特有の狂気に満ちた感情が含まれていたが。優作は当時語っていたが彼にしても森田にしてもこのフィルムを突破口に新しい邦画を作れる最大のチャンスだったがお金を出してくれる人々がいなかったのがつくづく残念に思われる。それが実現されていれば日本映画の現状は変わっていたかもしれない。


パンフ画像



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