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アレなんだよなぁ〜!?

24. 華の乱 HANA NO RAN

【出演者】吉永小百合、松田優作、池上季実子、石田えり、中田喜子、西川峰子、斉藤絵里、三條美紀、谷本小代子、野口貴史、成瀬正孝、岩尾正隆、中村錦司、宮城幸生、疋田泰盛、志茂山高也、平河正雄、鈴木喜勝、砂川真吾、甲斐道夫、高良隆志、山口祥行、武井三二、谷口孝史、田井克幸、浅田祐二、鈴川法子、田辺ひとみ、武田京子、西村美有紀、岡田ひづる、松坂慶子(特別出演)、山下和哉、加賀谷礼奈、森奈緒美、馬渕英明、大熊敏志、北村由紀、嶋田博子、池原和則、小泉夏樹、岩渕夢菜、沢田悠、浅尾和憲、岡雄大、西野浩、石橋蓮司、内藤剛志、蟹江敬三、成田三樹夫、風間杜夫、緒方拳【企画】岡田裕介、佐藤雅夫【プロデューサー】豊島泉、妹尾啓太【監督】深作欣二【脚本】深作欣二、筒井ともみ、神波史男、永畑道子(原作)【音楽】井上堯之【製作会社】東映【製作年】1988【上映時間】139′【封切日】1988.10.1

【あらすじ&感想】

 明治34年京都-新進の女流歌人.晶子(吉永小百合)は初めての恋愛で「炎に狂った一匹の蝶」になった。その熱い気持ちは与謝野寛(緒方拳)という妻子がある有名詩人(歌人)に向けられた。

 寛にも自分が主宰する歌集「明星」などの理由はあったが結果的に晶子が妻.山川登美子(中田喜子)を追い出すこととなった。大正12年-不倫愛を貫いて寛を勝ち取った晶子であったが彼は段々と鬱病が酷くなり、前妻には歌のことで罵られ、周りには先妻を追いだした悪女として天誅を加えろとの弾劾を受けていた。

 その折に帝国座にて友人の松井須磨子(松坂慶子)主演で行われた「復活」という舞台を観劇後に彼女は運命的な出会いをするその男が有島武郎(松田優作)だった。彼はその時に波多野秋子(池上季実子)という女性記者を乗せたバイクで晶子と軽い接触事故を起こす。その頃既に西洋に通じていた武郎はそのお詫びとして帽子と洋服を晶子に送る。このお詫びを心苦しく思った晶子は武郎にそれらを返すために邸を訪れる。

 そこで偶然に「労働運動」という発禁本を持ち込む革命家.大杉栄(風間杜夫)に会うのと同時に武郎の亡き妻が自分にそっくりだったことを聞かされる。妻に似ているという理由と武郎の息子達のために晶子は帽子と洋服を受け取り、さらに自分の子供達も連れて、ピクニックに行く事を提案する。そこで非常に心持ちを良くした武郎は軽い愛の告白を晶子に試みる。

 この心情に気づき始めたのが波多野秋子であった。彼女は武郎に対する原稿依頼にかこつけて彼と晶子の様子を窺いに来た。そんな中で晶子の周りでは大きな出来事が次々と起こった。夫の衆議院総選挙への出馬、須磨子を育てた島村抱月(蟹江敬三)の死と須磨子の自殺、革命家.大杉栄の再訪...。

 激動の最中で晶子は武郎から本気の告白を持って北海道に一度来て欲しいと懇願される。この申し入れに心戸惑いながらも子供達を置き去りにし、武郎の待つ北海道に向かう。二人は北の大地でシューベルト「水の上で歌う」を中心に熱く愛し合う。

 だが、武郎は農民に土地を開放しようとしたのが仇になり、警察に捕まる。彼は農民の力になれなかった自分に憤り、その不甲斐なさから晶子を東京に返す。満たされぬ気持ちから東京に帰った彼女を待っていたのは出戻りの夫と反逆する子供達それと...。そして、大正は関東大震災で幕を下ろす。

 今から9年前の映画だが演技の上手、下手は別にして与謝野晶子を演じる吉永小百合は美しい。そこには今の女優が無くしてしまった高貴な美しさの存在感がある。

 一方、寛に扮する緒方拳は役柄の所為もあるのだが余りにも一本気の演技で存在感が薄かったし、彼の力からして「手を抜いているのかな」などと余計なことも考えてしまった。只、最後のシーンの「何もかも狂っとる」という科白は非常に力強く印象に残った。

 又、松田優作演じる有島武郎については時代の先端を行きながら心まで満たされない自己を二人の女によって埋めようとしたが最後は不条理な心情が人間を上回ってしまった。この心の葛藤を飄々とした演技の中で松田は表現しようとしたのだろう。それにしては池上季実子扮する波多野秋子との事件を完結するまでの心情の変化や場面展開が急ぎ過ぎた嫌いがあるのは否めないであろう。


パンフ画像



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