Yusaku Market 松田優作さんのDVD、ビデオ、CD、本などが、 詳細な年表を見ながら、購入可能です。 アレなんだよなぁ〜!? |
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25. ブラック・レイン BLACK RAIN
【出演者】マイケル・ダグラス、アンディ・ガルシア、高倉健、ケイト・キャプショウ、松田優作、神山繁、ジョン・スペンサー、ガッツ石松、内田裕也、若山富三郎、小野みゆき、ルイス・ガツマン、ジョン・A・コステロ、スティーブン・ルート、リチャード・リール、ブルース・カツマン、永末とも、クレム・カセルタ、ティム・ケラハー、ジョージ・カイル、ヴォンディ・クリスホール・ジョーピース、ルイス・カンタリーニ、ドグ安田、佐藤トシオ、国村純、ロイ尾形、大石シロウ、田中トオル、安岡力也、島木譲二、笹ゴロウ、伊吹太郎、淡路ダイスケ、ケオーネ・ヤング、ジム石田、林ショウタロウ、小畑トシヒロ、津島ミチコ、リンダ・ギレン、ジョン・ゴタイ、マシュー・ポラック、ケン・セイケン、ジョシップ・エリック、ミシェル・バー、ボビー・バス【監督】リドリー・スコット【脚本】クレイグ・ボロティン、ウォーレン・ルイス【撮影】ヤン・デ・ボン【音楽】ハンス・ツィンマー【演出】ダイアン・クリッテンデン【製作会社】ジャッフュ・ランシング・プロ【製作年】1989【上映時間】126′【封切日】1989.10.7
【あらすじ&感想】
オートバイのジャックナイフで金を稼ぐニック。
ある日、このNY市警殺人課.ニック・コンクリン(マイケル・ダグラス)とチャーリー・ビンセント(アンディ・ガルシア)が昼食を取っていた。それをあざ笑うかのように突然日本人が乱入し、事もあろうに彼らの目の前でマフィアと会食をしていたヤクザを2名殺害した。
ニックはやっとの思いでその中の一人を逮捕した。彼はこの男を思う存分取り調べようとしたが上司により日本大使館からの圧力で比奴を日本まで護送することになる。だが、日本に到着したニックとチャーリーが最初に飛行機内で引き渡した男が実は偽警官で護送した男.佐藤浩史(松田優作)の手下であった。
彼らはこの不始末のために大阪府警に着くとニックが一番嫌う背広ヤロー・大橋部長(神山繁)にこっぴどく扱き下ろされる。もう一歩で彼らは帰国させられるところを免れるが松本正博(高倉健)という英語が堪能な警部補がお守りにつくことになる。
その直後、クラブ「都」というところで殺人事件が起きる。殺害されたのは空港の偽警官の一人であった。ニックはそこにいたジョイス(ケイト・キャプショウ)というアメリカ人から佐藤は前の彼のボスだった菅井(若山富三郎)と戦争中だという情報を得る。
佐藤はこの捜査の状況を間近で不敵な笑みを浮かべながら眺めていた。その後に「佐藤のアジトではないか?」という情報が府警に入り、ガサ入れを行うが重要な証拠は遂に発見出来なかった。しかし、その時にニックが1ドル札を盗んだのを二人のお守り役.松本は部長に叱責を受けながらも見逃さなかった。
その後、三人で「都」に飲みに来た時に松本はニックを汚い刑事と罵った。確かにニックはNYでも現在、汚職刑事として取り調べを受けている事実もあった。松本はチャーリーと楽しく酒を飲み、歌を唄いながらもこの事が頭から離れてはいなかった。
だが、地下街で陽気なチャーリーは佐藤とその手下と思われるバイクの男達にニックの目前で命を奪われる。失意のニックに事情を知るジョイスが手を差し伸べる。その心を察した松本もチャーリーの遺留品を持ってニックの元に現れ、ニックは警察のバッジを松本にそして遺留品の中から拳銃を選ぶ。
それから再び執念で佐藤のアジトを調べ、女の服に付いているスパンコール玉を見つける。彼はこれを瞬時に都のホステスのものだと判断し、松本とその女を尾行する。その尾行中に屋台でうどんを食べながらニックは松本にNYでの汚職の真実を告げる。松本は彼に自分とチャーリーを汚すようなことがないようにと諭す。その言葉を心深く受けとめるニック。
その一方で佐藤はハワイに新しいシマが欲しいと菅井に偽札の原版に関する取引を持ち掛ける。ニックと松本はこの場面を押さえて、佐藤を逮捕しようとしたが強引な捜査は大橋部長の気持ちをまたしてもかなり害してしまった。再度強制送還になるニックは三度そこから逃げ出す。
直ぐに松本のアパートを訪ねるが彼は謹慎中の身でニックへの協力を頑なに拒んだ。ニックはジョイスから菅井の居場所を聞き出し、そこに乗り込む。交渉の末に菅井からライフルを受け取ったニックは佐藤との最後の決戦の場である農場近くの寺に潜むがそこには意外な人物が...。
確かにこの作品では最後の空港に於けるニックに扮するマイケル・ダグラスと松本演じる高倉健のやり取りには涙が出てきた。しかもBGMの「I'LL BE HOLDING ON」by ハンス・ツィンマー&ウィル・ジェニングスが追い打ちをかけるほど良い出来であった。
しかし、それ以上に優作ファンの私としてはこれが彼の遺作となったということよりもこの狂気を持つ殺人鬼の佐藤像を作り上げたYUSAKUには脱帽するのみである。佐藤のあの表情や動きが出来る俳優は世界広しと言えども、松田優作しかいないだろう。
冒頭のニックとチャーリーが昼食している所で突然佐藤が侵入してきた時には周りの風(ア・ホーマンスの時のジュクに吹いた風KAZEとは違う)が完全に変わってしまった。注目が全て彼に行ってしまったというか目線がその一点に釘付けになったのだ。この時ばかりはマイケルもアンディも完全に脇役に回ったことは否めない。それほどに存在感が際立っていたのである。
このフィルムの後に優作の尊敬するロバート・デ・ニーロとの共演が決まっていたというのも宜なるかなである。
けれど、全体の映画としての雰囲気もリドリー・スコット監督がうまくまとめていたと思う。音楽も最高だ。又、大阪の街の映像がなにか日本の都市のようではなかった。(どこかアメリカの都市のような感じ)それは撮影のヤン・デ・ボン(スピードで一躍有名になった)の手腕によるものであろう。
そして、安岡力也や島木譲二などの癖がある脇役達も使い方によってはハリウッド映画でも充分通用するような気がする。この映画に関してはハリウッド制作の中で優作の他にも今までより以上に日本人が目立っていた感じがする。