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6. ひとごろし HITO GOROSHI
【出演者】松田優作、高橋洋子、五十嵐淳子、桑山正一、岸田森、永野達雄、西山辰夫、原田君事、石原須磨男、藤川準、堀北幸夫、沖時男、遠山欽、花岡秀樹、暁新太郎、津奈美里ん、倉谷礼子、市川海四郎、丸山清一、馬場勝義、諸木淳郎、丹波哲郎【監督】大洲齋【脚本】中村努、山本周五郎(原作)【音楽】渡辺宙明【製作】永田雅一【製作会社】永田プロ=大映=映像京都【製作年】1976【上映時間】82′【封切日】1976.10.16
【あらすじ&感想】
越前の福井藩に一人の臆病侍がいた。その男の名は双子六兵衛(松田優作)と言って、無類の饅頭好きであった。
その頃城下には仁藤昂軒(丹波哲郎)という腕の立つ剣の師範がいた。彼は武道に傾倒する余りに他人を寄せ付けないところから周りの人間達には疎まれていた。その人柄が原因である事件が起きてしまう。それは藩を捨て江戸で出世を狙う仁藤を城下の侍達が襲うというものであった。
始めは止めに入った加納平兵衛(岸田森)という越前公に可愛がられていた男さえもその軍団に加わり、命を落とすことになる。その事に激しい憤りを感じた越前公は藩を捨てたこと、加納を殺害したことなどから仁藤に対する上意討ちを命ずる。これに名乗りを上げたのがこともあろうに藩一の臆病者であった六兵衛だった。
六兵衛はそれを決意する前日に妹のかね(五十嵐淳子)から結婚出来ないのは兄上の所為だと言われたことが引き金となった。彼は命を受け、直ぐに仁藤の後を追う。アッと言う間に追いついた六兵衛は仁藤に自分の正体を知られる。まともに行っては全く勝ち目のない六兵衛はここで一案を講じた。それは周りの自分と同じような臆病な人々を巻き込むことであった。
彼はその後、仁藤に付きまとい、人々の前で「ひ・と・ご・ろ・し」と罵った。仁藤は六兵衛を卑怯呼ばわりして正々堂々と武道による勝負を要求したが意に返さずに六兵衛は同じ行為を繰り返した。仁藤がある旅篭の松葉屋に寄った時もその言葉を発したが気っぷのいい女主人.よう(高橋洋子)はその言を無視して仁藤を泊める。
仕方が無く六兵衛はその宿に泊まり、仁藤の行動を見張ることになるが夜中にようがやってきて六兵衛に仁藤を狙う理由を尋ねる。果たして翌朝から六兵衛はようと仁藤に付きまとう旅をすることになる。ように助けられ、富山藩での窮地も頭を働かせて避けることに成功した六兵衛は遂に仁藤の背後に迫るが...。
最初のクレジットにはいる前のシーンから実に特徴的な作品である。無音のまま、口の形だけで「ひ・と・ご・ろ・し」と表現をする。
物語に突入しても普通の時代劇にありがちな緊張感がない。それは良いところであり、反面余り力を入れていない映画だとも言える。登場人物については双子六兵衛演じる松田優作のコミカルな演技と仁藤昂軒に扮する丹波哲郎のシリアスな演技の対比がとても面白かった。
ある優作のファンなどはこのコミカルな部分が後のテレビ版探偵物語の工藤俊作に繋がるのではないかなどと評価をしていたくらいだ。全体としては82分と短すぎて最後の場面などは少し端折り過ぎて尻切れ蜻蛉になってしまった。だが、時代劇版エンターテインメントとしては非常に初期の松田優作を知る意味で貴重な作品である。