Yusaku Market 松田優作さんのDVD、ビデオ、CD、本などが、 詳細な年表を見ながら、購入可能です。 アレなんだよなぁ〜!? |
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7. 人間の証明 PROOF OF THE MAN
【出演者】岡田茉莉子、松田優作、ハナ肇、ブロドリック・クロフォード、ジョー山中、岩城滉一、竹下景子、坂口良子、高沢順子、シェリー、ジャネット八田、范文雀、夏八木勲、和田浩治、室田日出男、鈴木瑞穂、峰岸徹、地井武男、大滝秀治、ロバート・アルジョーンズ、佐藤蛾次郎、E・H・エリック、鈴木ヒロミツ、テレサ・メリット、ジョージ・ケネディ、田口計、菅野忠彦、近藤宏、河村弘二、山岡徹也、河合紘司、相馬剛三、中島元、中田博久、片岡五郎、高並功、桐島好夫、亀山達也、畑中猛重、五野上力、山浦栄、武田洋和、安永憲司、玉井謙介、アレキサンダー・イーズリィー、露木茂、三上彩子、山中ひかり、石井明人、星美智子、和田悦子、大橋芳枝、奈三恭子、島崎奈々、大城信子、金井真喜子、青木万理子、原あけみ、下村節子、とりい三枝、日向亜希、福王トモ子、テイナ・ユカ、田中美穂、野川愛、森村誠一、リック・ジェーソン、今野雄二、田村順子、西川峰子、小川宏、深作欣二、長門裕之、北林谷栄、伴淳三郎、三船敏郎(特別出演)、鶴田浩二【監督】佐藤純彌【脚本】松山善三、森村誠一(原作)【音楽】大野雄二【製作】角川春樹【製作会社】角川春樹事務所【製作年】1977【上映時間】132′【封切日】1977.10.8
【あらすじ&感想】
1977年に上映された角川映画第二弾。
ニューヨークの黒人スラム街で育ったジョニー.ヘイワードは「キスミー」という謎の言葉を残して日本へ旅立った。その頃、東京ではロイヤルホテルで八杉恭子(岡田茉莉子)というデザイナーが華々しいファッションショーを開催していた。
一見共通性のない事柄がそのホテルでのジョニーの死によって結びつく。なんと彼はロイヤルホテルのエレベーターの中で何者かによって殺害されていた。その現場でもニューヨークを出た時と同様に「ストーハット」という意味不明の言葉を吐いていた。
それを捜査するのが英語を巧みに操る棟末(松田優作)という刑事であった。又、それと殆ど同時期に不倫をしていた一人の女性がひき逃げによって不慮の死を遂げていた。その犯人はなんとファッションショーを開催した八杉の息子.恭平(岩城滉一)であった。
一方、棟末らの捜査は現場をホテル近くの清水谷公園と突き止め、そこで2つの重要な遺留品を発見した。1つは古びた麦藁帽子、もう1つは西條八十の詩集であった。それからジョニーが遺した最後の言葉は棟末が「STRAW HAT(麦藁帽子)」だと断定する。
この事件はインターポールを通じてニューヨーク27分署に協力依頼が届く。27分署でハーレム生まれの黒人殺害事件を担当することになったのが白人のケン・シュフタン刑事(ジョージ・ケネディ)であった。彼は署長からの無理強いで嫌々日本人に協力することになる。その頃、ひき逃げの証拠隠滅を計る恭平も必至に動いていた。
ジョニー殺害はシュフタンの捜査によりジョニーの父.ウィリーが何らかの理由で日本に息子を行かせるために偽装の交通事故で金を稼ぎ、日本への旅行費用を捻出していた事が判明した。又、日本では証拠隠滅に息詰まった恭平が母.恭子にひき逃げによって女性を殺したことを告白する。
それと同時に恭子もある程度のデザイナーとしての地位を築いたことから政治家である夫と別れることを息子に告げる。そして、取り合えず、彼女は最愛の息子.恭平をニューヨークに逃がす。この直後、棟末は小山田武夫(長門裕之)という行方不明の女の夫である男から依頼を受け、八杉恭子に初めて会う。
その時、棟末は忌まわしい父との思い出の記憶が蘇った。戦後の闇市で父が米兵から助けようとした女はまさしくこの面前の女性に間違いなかった。その時の傷が元で父は亡くなってしまっていた。
一方、黒人の事件に於ける警察の捜査は段々核心に近づいていた。まず、ジョニーがニューヨークで遺した「キスミー」という言葉は遺留品の西條八十詩集にある「母さん、僕のあの帽子どうしたでしょうね。...」で始まる「帽子」という詩の中にある「霧積」という地名である事、又、その詩に「麦藁帽子」も出てくることである。
その事柄を携えて、同僚刑事と友に霧積に向かった棟末であったが目前にあったのは決定的な証言者になるはずだった老女の死体であった。それでもある聞き込みから重要なことを知る福島にある老女を訪ね、ある情報を仕入れた二人の刑事は東京に戻り、夫のパーティ出席で忙しい恭子を訪ね、彼女に真意を尋ねるが一向に要領は得なかった。ある一点を除いては。
この後にニューヨークにてジョニーの過去を知ろうとする棟末の前に現れた27分署の刑事.シュフタン刑事の左手には棟末にとって本当にあの忌まわしい記憶である「龍の入れ墨」が彫ってあった...。
1作目は忘れたがこれが角川映画の2作目である。当時から角川映画については賛否両論あったがクレジットを見れば分かるがこの豪華な俳優陣や派手な宣伝広告などからすると映画界を盛り上げるという意味では非常に意義があったと思う。昨今は個々にはそれなりにやっているが角川春樹は集中的に一般人の目を映画に向けさせた。
私が今でもこの映画の印象が頭の中に残っているのは松田優作が出演していたということだけではなく、執拗な宣伝効果でもあったのだと思う。
また、幾度も登場する西條八十の詩の世界が実に日本的で情緒的、それと言葉の一つ一つが大野雄二による映画の挿入の音楽効果と共に郷愁を感じさせた。最後は女の欲望と親子の情愛、それと現代には既に霧散霧消してしまった日本語の美しさを西條八十という詩人によって堪能させてもらった。20年前の映画だが映画の持つ独特の醍醐味を再び味あわせてくれた。
このフィルムを商業主義と言うなかれ、実際は実に泣けた良い映画であった。また、優作演じるぶっきらぼうな棟末刑事の演技にも注目して欲しい。